隙間なく、あっさりと答えたレグサに、空いた口が塞がらなくなった。

…つまり、彼は仕事に困っている人を助ける為、負債を抱えた店を救った代わりに、その困っていた人を借金の形に頂いて来たという訳だ。

…あれ!?なんだか行動と結果が矛盾していないかしら!?気のせい!?

「ね、ねぇ、あんまり聞きたくないけど一応聞くけど、どうして彼、寝てるの?」

「ん?それはね、連れてくる前に、お酒に一服盛ったのさ」

「それ誘拐よね!?」

「失敬な。まぁそんな形になってしまった事は否定しないけど、それが目的じゃないよ。ただ、僕は彼から貰いたい物があるんだ。それを交渉する前に人の邪魔が入ったから、面倒だからどっちも寝て貰って場所を変えたんだよ。いやー、此処なら落ち着いて話が出来る」

「…それ、この子まで寝かせる必要があったのかしら?」

邪魔をした相手に一服盛れたのなら、彼にまで盛る必要はなく、その場で話せばよかったような…。

「いや?どうせ夜が明ける頃には一緒に特治街まで着いてきて欲しかったからね、邪魔もの排除ついでに、列車に乗せる交渉を省いてそのまま連れてきたよ」

なんて荒っぽい連行の仕方だろうか。そこまでして貰いたいものって…ああ、そういえばカワイイ可愛いって言ってたわね。

まぁ、好みの相手に何が何でも強いたい気持ちは、分からないでもないけど。

「アナタ、この子が好みだからって、あんまりマニアックな事はよしてあげなさいよ?見た感じ、処女っぽいし」

「え?なんの話?」

「なにって、お金出してあげた代わりに身体が欲しいから連れてきたって話でしょ?」

金持ってる奴が好みの相手にお金をちらつかせて援助交際をするなんて、珍しくないし。その手の話だろうと思っていたのだが、レグサが急に、ぶわっと汗をにじませたので、何事かと思った。

「…そ、その手があったか!ちくしょう、サノト君とヤれる機会が!その話を先に思いつくんだった!僕としたことが!まだ間に合うかな!?」

「なによ今気づきました見たいな声だして。なに?こんなぼんくらした男の子に、身体以外に目的なんてあるの?」

「…うっかりソッチを忘れてたくらいの目的はあるよ。ていうか、この前さわりは話しただろう?」

「さわりだけじゃ、こんなトンチキな現状は理解出来ないわよ。身体目的なら理由もいらないけどね?」

「ああ、それはそうだ。どうして空が晴れているのかくらい、身体目的には理由がいらない」

「そんな事より、話がどうにも散らかってるから、アタシがスッキリするまでちょっと説明してくれない?」

「いいよ?その代わり、今すぐに心の準備をしておきたまえ」

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