「美紀、はなせ!」

「なんで?」

「なんでは無いだろ、良いから離せよ」

「小牧のこと追いかけるの?アイツが勝手に泣いただけじゃない!なによ、ひとの彼氏にべたべたして。あんな大人しい顔して、おとこ横取りしようだなんて最低よ!」

「良いから…」

「よくない!彼女置いて他の女のところなんて行かないでよ!」

「俺はもう彼氏じゃないだろ!俺たち別れたじゃないか!」

思わず飛び出た叫びを、美紀が唖然とした顔で受け止めた

「………は?」

相手の力が抜けた隙に、その腕を乱暴に振り払う。

「ちょっと、別れたってどういうことよ。何言ってるの?」

「お前こそ何言ってるんだよ!別れようって連絡寄越したのはお前だろ!」

「は?本気にしてたの?あんなの冗談に決まってるじゃない」

「冗談だと思ったから、その後何回もこっちから連絡したじゃないか。でも、出なかったじゃないか」

「その時はまだ怒ってて、ちょっと無視してただけよ。その後、サノトの方から、また連絡するからって送ったでしょ?あれから、アタシずっと連絡待ってたんだからね?連休だって、アタシの為に空けてくれるって言ってたから、ギリギリまで粘ってたのに…なに?なんで合コンなんて行ってるの?これ浮気よね?さいってー」

「…お前は、どうなんだよ」

「アタシは!サノトが放っておくから遊びに来ただけよ!」

「違う!浮気の方だよ!」

「は?」

「お前にな!また連絡するからって連絡入れた直前に、俺はお前が他の男と腕組んで歩いてるところを見たんだよ!」

「…なんの話?」

「しらばってくれるなよ」

「覚えて無いのよ。それに、そんなの、もしあったとしても、連れとじゃれてただけでしょ?腕組むのなんて、友達ならよくあることでしょ?別にキスしてる訳じゃあるまいし」

「何言ってんだ。彼女が他の男と腕組むのがよくあることで済むかよ。しかも、お前に別れようって言われて、電話無視された後に見たんだぞ?お前と別れて、他の男に乗り換えられたんだって思うだろ普通!」

「思わないでよそんな事で!馬鹿じゃないの!」

「…な、んだよそれ」

俺は、ショックだったんだぞ。

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