「そうなんだ。それじゃあ、明日の朝までに、家にいるか、外にいるか決めてくれないかな?俺、明日は一日出掛ける事になったから」

「…なぜだ?どこへ行くんだ?」

「別にお前には関係ないよ」

「なぜだ。教えてくれるくらい良いだろう?」

「いやだから…」

何故か、サノトが明日何処に出かけるのかをしきりに気にし始めたアゲリハだったが、暫く問答して、サノトに答える気が全くない(だって、教える必要ないし)と分かるなり「ふうん」とそっぽを向いて、適当な場所に寝転び始めた。

行き成りの行動に「アゲリハ?」問いかけるも「もう寝る」と、にべの無い声を放られる。

辟易しそうなくらい、自由な奴だ。頭の中はどうなっているのだろうか。

取り残されたサノトは、机に残った食器を全てキッチンに片づけ、風呂の準備をすると、一度中に戻って寝間着を探った。

その時、剥き出しの背中が視界に入る。もう春だけど、まだまだ辺りは肌寒かった。

こんな薄手のジャージでは、風邪を引いてしまいそうだ。

そっと、相手の背中に毛布をかけてやると、もぞりと背中が動いた。特に振り返ったりはしなかったので、たまたま、寝返りでも打ったのだろう。

気がかりを昇華すると、準備の終えた風呂に早速つかった。天井から、ぴちゃんと、蒸気した水が滴となって落ちる。

それを瞼に受けながら―――明日は晴れるといいなぁ。上を見ながらぼんやり考えた。






「―――で、今日どうする?ウチに居る?外に出る?」

「私も行く」

「…え?ごめん、もう一回言って?」

「私も行く」

「ごめん、もう一回」

「私も」






電車に運ばれ、指定の時間と場所に赴くと、先に鈴木が待ちあわせ場所で待機していた。

駆け寄って手を振ると、こちらに気付いた鈴木が―――怪訝そうな顔で振り返る。

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