―――三日前。

どうしてだ。こんなに探しているのに。こんなに、未だ出会えないお前を私は愛してやりたいのに。

…どうして、運命の人に出会えないんだー!

「と、そこまで考えてだな、ついに分かったんだ。この国には!私の運命の相手がいないって事にな!」

「…お止め下さいアゲリハ様!何を考えていらっしゃるのですか!非常識ですよ!」

「非常識なのはこの国だ!いつまで経っても私に運命の人を授けてはくれないじゃないか!流石の私も我慢の限界だ!」

「馬鹿な事を言わないで下さい!個人の私用に、ましてや、貴方の馬鹿げた言い分に緊急列車を使うなど、もっての他ですよ!」

「うるさい!私が何を、何処で、いつ使おうが、私の勝手だ!」

「ま……っ、アゲリハ様!」

「さぁ行くぞ緊急列車!私が一生をかけて愛することの出来る人は、必ず世界の外にいる!その人と出会い連添うまで…しばしさらばだトーイガノーツ。次にこの国を跨ぐ時は、かならず我が伴侶と共に!」







下校時刻。電車から降りたは良いものの改札口を出ず、なんとなくホームに寄りついたまま友人と喋っていた。

「―――で、兄貴がさ、昨日の夜、この辺りでユーフォーが飛んだって言い張るんだよ。仕事の帰りに見たんだって。俺は嘘だぁって笑ってたんだけど、今日、学校行ったら、クラスの奴らが何人か同じこと言っててさ。で、俺なりに考えてみたんだけど…」

「…話切ってごめん。鈴木、ちょっと良いか?」

スマホを覗きながら片耳で話を聞いていたサノトだったが、その最中に待ったをかけた。

話を切り上げられた友人が、首を傾げて「どうした?」と、言葉を促してくる。

笑って応えようとしたが、口元がひきつっていない自信が無かった。

「えっと、一週間…くらい前からかな?俺さ、初めて彼女と喧嘩して」

「へぇ?そうなの?でも、何時もお前ばっかり詰られてたみたいだし、言い返せるって分かって良かったんじゃないの?ていうか、気の強い女って彼女にすると、苦労するよねー?ま、喧嘩なんて突風みたいなもんだし、気にするなって」

「…その、実はさ、続きがあって。えっと、喧嘩した時、こんなのが向こうから来て…。それから、彼女と連絡が取れなくなっちゃったんだ。電話かけても全然繋がらない」

持ち替えた手で画面を点灯させ「こんな」にかかる部分を開いて見せる。

そこには、素っ気の無い枠の中に「もういい、別れよ」と、簡潔な文字が並んでいた。

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