提案が気に入ったので早速、どうしようかこうしようかと、お互いの部屋について話し合う。
結果、サノトのアパートは、彼女が出て行ってから放ったらかしにしてあった隣を片付けることになり。
アゲリハの家は、書斎を片付けてサノトの部屋にしてくれる。ということになった。
「先にうちを整えよう」とアゲリハが言ったので、人気が薄くなるのを待ってから例の車に乗りこみ、サノトの国から異世界へ。もとい、トーイガノーツへ向かった。
そのままアゲリハのうちに泊まらせてもらい。
翌日の朝。改めて、家の中を案内してもらった
アゲリハのうちは3LDKの二階建て。こじんまりとした一軒家で、外にはささやかな庭と車庫が併設されている。
一階はダイニング、リビング、キッチンの構成になっていて、二階へ上ると、階段を中心として、右に一部屋、左に二部屋、計三つの部屋に区切られていた。
一部屋は、サノトが初めて此処へ来た時、あれこれ世話をしてもらったアゲリハの寝室。
二部屋目は、サノトの部屋にしてくれるという書斎。
書斎の中は本棚が立ち並んでいて、サノトの部屋の棚とは比較にならない蔵書数だった。思わず「おおっ」と、うなってしまう。
「ここ片づけちゃうと、本棚とか本とかどうするの?俺が使っても大丈夫?」
「大丈夫だぞ。一部は私の寝室に移動させて、入りきらない分は一階のリビングに置いておくつもりだ」
「なるほど」家主がそれでいいと言うのなら、サノトに異論はない。
ご厚意に甘えて、一部屋頂戴することにした。
そして、残りのもう一部屋と言えば。アゲリハいわく「アトリエ」に使っているらしい。
あまりにも聞き慣れない単語だったので、「あとりえ?アトリエってあれ?絵とか描く場所のアレ?え?アトリエがここにあるの?」三回ほど聞き直してしまった。
「わざわざ絵を描く場所がひと部屋あててあるの?」
「そうだぞ」
見てみるか?と誘われ、滅多とない機会に「見る見る!」食い気味に頷いた。
アゲリハがアトリエの扉に手を置いて、開く。サノトも続いて、開かれた扉に近づき、中を覗いた。
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