「鈴木。俺はな、この人に告白された時、この人にしばらく世話になったとか、せっかく仲良くなったからとか。

そんなことよりもだ。

あ、俺の人生に、このレベルの人に告白される機会ってあとどれくらいあるだろ?
ねぇよ。ゼロだよ。
ゼロってことは今奇跡が起きてるわけか。
それを男だからって断るのはもったいねぇな。と、強く思ったわけでして」

「思うだろこの顔なら」

「だよね!?よかったー!俺、こんな簡単に性別の壁こえて、この顔ならいけるんじゃね?もったいないんじゃね?ってすごく思っちゃったから、元々性癖がずれてたんじゃないのかって不安になっちゃってさー!」

「いや。サノトは正常だよ。この顔にせまられたら俺だってそう思うよきっと」

「だよね!思うよね!
実を言うと、キスをされた時もまったく不快ではありませんでした」

近づくとよく見えるまつ毛が、めっちゃ長くて濃い。なんて思ってました。

「相手は男だっていう先入観が、相手は美人だっていう事実に負けてるな。
うんそれなら。迷うことはないよサノト」

もったいないからつきあっとけ!と、鈴木はきっぱりと言った。

友達に断言されるとより、その気になってくる。

「いやー。俺の平平凡凡とした人生に、まさか男と付き合うことを検討する日がこようとは」

「あれじゃね?長々付き合ってた女に捨てられたあげく金までせびられて、ズタボロにされた結果ってのもあるんじゃね?
色々疲れたから、恋愛は同性とか異性とかももうどうでもいいやみたいな」

「あー、あるかもー。俺、今世界が元彼女とこの美人さんと三人きりになって、どっちか選べって言われたら絶対美人さん選ぶわ」

「例えが極端すぎてうける。お疲れさまですサノトさん」

「どうもありがとうございまーす」

「なーサノト。この人と付き合ってしばらくしたらまた連絡してよ。話聞きたいから飲もうぜ」

「おっけ。連絡する」

サノトの悩みが解決すると、あとは二人で飲みまくって、切りの良いところでバイバイして。

次の日。

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