えーとえーと。……えーと。

「……あのさ、アゲリハさんならもう分かってると思うんだけど」

「うん?」

「俺、こんな性格だから、……可能性がもし少しあったとしても、答えがすぐに出せません」

「うん。分かってるぞ」

「だから、その……ちょっとまっててくれる?」

あなたの告白を無下にするつもりはないんだよ。というのをやんわり伝えると、「わかった」アゲリハさんが微笑みながら頷いた。

「サノトの気が済むまで待ってるんだぞ」

「ありがとー」

その「気が済む」がいつまでかかるのか。恐らく大事なそのことを、アゲリハさんは問わずにいてくれた。



何度もスマホを取り出し、しまい、取り出し。

「……よっし!」意を決してライソを開ける。

自堕落になってからほとんど無視してしまったメール通知の中から、一番通知件数の多いタイムラインを開くと、ためらいながらも「ひさしぶり」とメールを送った。

数分後。

『さのと!?さのと大丈夫!?連絡しても全然既読つかないし電話もでないしで心配してたんだぞ!』

「あー……ごめん。ちょっと色々あって」

いきなり心配の電話がきて、申し訳ない気分になった。

電話の相手は、高校が一緒だった友達だ。

卒業してお互いの進路が変わっても、時々飲みに行ったり遊びに行ったりしていた仲の良い友達。なのだが、ここ半年ほどぷつりと交流が途絶えていた。

なぜかと言えば、むろん。落ち込んで酒浸りになっていたからである。

落ち込んでる間も友達は連絡をくれていたのだが、サノトがそれどころではなく、連絡を返せずにいたのだ。

返せないなりに、彼からの連絡は気にかけていたので、ようやく返事が出来てほっとする。

『驚かすなよー!全然連絡取れないから、お前死んでるんじゃないかと思って、アパートまで行こうか迷ってたところなんだぞ!』

「ははは……すいません。一応元気です」

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