うるんだ眼で見上げながら、「今日こそするの?」笑ったまま尋ねる。
性的な接触を続けている割に、サノトとアゲリハはまだ一線を越えていない。毎回、今日こそくるか、いや今日かと、男同士は初体験なりに身構えているのに、結局触るだけでなにも起きないので、最近では「俺身構えているんじゃなくて、実は期待しているんじゃ?」と思うようになってきた。
それも含めての問いかけだったのだが。
問われたほうといえば、「いや、なにも準備していないからなぁ」あっけなく、今日はしないという答えを出した。
そっかー、今日もしないのかー……。
若干残念に思ったので、やっぱり俺は期待をしているようだ。
「そのうちしてね、アゲリハ」
「サノト……いまの言い方は……」
「ん?」
「いや。なんでもない。そうだな、いずれな。
ああそうだ。するにあたっては、お前はどっちが良い?」
「どっちって?」
「使う場所だ」
「ここ」と「ここ」と言いながら、アゲリハが陰茎と臀部を交互に握る。
「っ、」不意打ちの刺激に悶えながら考える。ようするに、いれたいかいれられたいかって話だよな。
どっちだろう。アゲリハにいれたいかっていうと、うーん、想像がつかない。
じゃあいれられたいかっていうと、うーんこれも想像がつかない。期待しているくせに我ながら適当だ。
経験則で言うのなら、サノトはいれる方がいいのだろうけど。
それこそ経験則で言うのなら、むしろ相手に任せた方が良いような気がする。じゃあ逆に聞いたほうが良いな。
「アゲリハはどっちなの?」
「どちらかといえばいれたい」
「じゃあそれで」
「ん、分かった」了解と同時に瞼にキスされる。それから、アゲリハはサノトの太ももに触れ、徐々に中心に手を滑らせると、布を開いて、熱のこもった芯にてをかけた。
「は……っ、ぁっ」すべすべした手の感触に声が上擦る。血液が、上にも下にも集中して、呼吸の速度が上がっていく。
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