「う、うーん……そんなものなのか……な?
けど、だとしたらエロ本作家でもあったってことだよね?200年経ったとはいえ……よくこんな、格式ばったところで美術展をやるような人になったよね?」
「200年の時間がそうさせたんだろう。
みな、古ければ古いものほど高尚だと有難がる風潮にあるからな。当時が本来どうだったかは二の次だ。仮に、後世に当時のことが書き残されていても、それは書いたやつの主観がどうしても混じるから、それも事実だとはいいがたい。それが事実だと言っているやつはいるがな。それは本人のお好み次第だ。
それはさておき。
面白そうな本だな、私はこれとこれを買おう」
そう言って、アゲリハが持っていた本を閉じ、ついでに絵葉書のコーナーから一枚、綺麗な色合いのものを選び取った。
そのままレジに行くかと思いきや。本の中身を今一度ぱらぱらとめくって、から、隣にいるサノトにそっと耳打ちする。
「せっかくお手本があるのだし、200年前のことを試してみるか?」
「…………?」なにを言われたのか一瞬分からなかったが、分かった瞬間。「美術館で品がないだろ!!」思わず叫んでいた。注目を浴びたが、知ったことじゃねぇ!!
「たまには格式ばったセックスもいいんじゃないかな?」いけしゃあしゃあという彼氏に。
「そういう意味でいってねぇよ!歪曲するな!」再び怒鳴るも、「あははは」楽しそうに笑われた。
「だいたい……試すもなにも、まだ俺ら触ってるだけだろ……」
「ま、それもそうだな。
それよりサノト。これ買ってくるからちょっと待ってるんだぞ」
さらっと流されたし……まあいいけど。
レジでアゲリハが買い物を済ませている間に、サノトはふとガィラのことを思い出し、首を振って彼の姿を探した。
すると、もう少し向こうにいるのを見つけたので、「あ、ガィラさ……」駆け寄ろうとして、ぴたりと途中で足を止まる。
彼の両腕に、絵葉書や本がどっさり抱えられていたのだ。よくみると、足元に大量のグッズを入れたカゴが、二つも三つも置かれている。
15>>
<<
top