「え?なに?」
「トーイガノーツの海だ」
「とーいがのーつ?なにそれ?」
「私の暮らす国の名をトーイガノーツという。トーイガノーツの海は、お前にとっては異邦の海のことを指す。
それをいずれ、私と一緒に見に行かないか?きっと楽しいと思うぞ」
「異邦の海?」思わぬ提案をされ、一瞬惚けたサノトだったが。数秒後。
「うん。いきたい」二つ返事で頷いた。
*
水族館からの帰り道。サノトさえ良ければ今日も泊っていきたいとアゲリハさんが言うので。勿論オッケーと頷き。
「なにか食べたいものある?途中のマーケット寄って買ってくよ」
車内で今日のリクエストを聞くと。「ごはんじゃなくてもいいか?」「あ、クリームね。了解。昨日買っておいたから大丈夫だよ」さっさと注文を推察する。
「先に言われたんだぞ」
「その言い方だと分かるでしょ。大丈夫作ってあげるって。
あ、でも、夕飯のあとのおやつになるけど良い?」
「もちろんだぞ」
でも、クリームだけ器に盛ってはいどーぞ。っていうのもなんだし、今日はお菓子でも作ってみようかな。彼女がたまにおやつ作ってたから、器具だけはそろってるし。
でもクリーム使うお菓子って言ったらなんだろう。ケーキ?は、難易度高いし。
あ。パンケーキの素買って焼いて、その上にクリームを乗せればいいか。
品目が思いつくと、さっそく材料をマーケットで購入し家路につく。
先に夕飯を作って、テレビを見ながらアゲリハさんと一緒にそれらを食べ終え。しばらく会話したりお互い思い思いのことをしたりした後。
「そろそろクリームつくるよ」と言えば、「わーい!」漫画を読んでいたアゲリハさんが歓喜の声をあげた。
キッチンに移動すると、買って来たばかりの材料を袋から取り出し、調理器具をキッチンに並べ、冷蔵庫から卵を取り出す。
ボウルに粉いれて、卵いれて牛乳いれて混ぜて。
「ねーアゲリハさん」パンケーキを焼いてる間、同時にクリームを作るのが手間だったので、向こうで待っているアゲリハさんに声をかけた。
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