「すげー!なにそれ!」変形ロボみたいだったのでつい興奮してしまう。

「収納機能だ。……相変わらず、これの質量はどうなっているのやら。謎だな」

ぼそりと呟くアゲリハさんに、「見せて見せて!」とはしゃぐサノト。

数分、小さくなった車もとい箱をいじくりまわした後。サノトも不意に喉がかわいてきた。

「家、近くだから寄ってく?」訪問を誘うと、振り向いた相手が綺麗な顔で、「そうさせて貰うおうかな」にっこり頷いた。

それから、アゲリハさんはサノトのアパートまでついてきて、お茶を一杯のみ、少し世間話をしてから、「これからは飲み過ぎに気を付けるんだぞ」と言って異世界に帰って行った。

そして次の日。サノトは何事もなく目を覚ました。

「……夢じゃ……ないな、うん」昨日、洗わずにキッチンにおきざりにしておいた、アゲリハさんに出したお茶のカップを見つめながら、サノトはぼそりと呟いた。



出来事の大きさに比例しないあっさりとしたファンタジーは、サノトの手元に何も残ることなく、日付と共に去っていった。

かと思いきや。

「さのとー。こんにちわー」

チャイムが鳴るので開けてみたら、アゲリハさんがうきうきした顔で立っていた。

一瞬固まってから、ああ、ネックレスを取りに来たのだと思った。

こちらに帰してもらったはいいものの、借りたネックレスをつけたままだったのだ。

これどうしよう。と思っていた矢先だったので助かった。

「これ、返すね」

「ん?ああ、ネックレスか。良い良い。それはお前にやったんだ」

「え?そうなの?」

「それがないと私達は会話が出来ないからな」

「え?どういうこと?」

「まあつまり……こういうことだ」

そう言って、アゲリハさんが同じ形のネックレスを首から外す。そして。

「*****************」

「ん!?」次に、彼の口から出てきた言葉に驚いた。

「え!?なに!?」

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