「すげー!なにそれ!」変形ロボみたいだったのでつい興奮してしまう。
「収納機能だ。……相変わらず、これの質量はどうなっているのやら。謎だな」
ぼそりと呟くアゲリハさんに、「見せて見せて!」とはしゃぐサノト。
数分、小さくなった車もとい箱をいじくりまわした後。サノトも不意に喉がかわいてきた。
「家、近くだから寄ってく?」訪問を誘うと、振り向いた相手が綺麗な顔で、「そうさせて貰うおうかな」にっこり頷いた。
それから、アゲリハさんはサノトのアパートまでついてきて、お茶を一杯のみ、少し世間話をしてから、「これからは飲み過ぎに気を付けるんだぞ」と言って異世界に帰って行った。
そして次の日。サノトは何事もなく目を覚ました。
「……夢じゃ……ないな、うん」昨日、洗わずにキッチンにおきざりにしておいた、アゲリハさんに出したお茶のカップを見つめながら、サノトはぼそりと呟いた。
*
出来事の大きさに比例しないあっさりとしたファンタジーは、サノトの手元に何も残ることなく、日付と共に去っていった。
かと思いきや。
「さのとー。こんにちわー」
チャイムが鳴るので開けてみたら、アゲリハさんがうきうきした顔で立っていた。
一瞬固まってから、ああ、ネックレスを取りに来たのだと思った。
こちらに帰してもらったはいいものの、借りたネックレスをつけたままだったのだ。
これどうしよう。と思っていた矢先だったので助かった。
「これ、返すね」
「ん?ああ、ネックレスか。良い良い。それはお前にやったんだ」
「え?そうなの?」
「それがないと私達は会話が出来ないからな」
「え?どういうこと?」
「まあつまり……こういうことだ」
そう言って、アゲリハさんが同じ形のネックレスを首から外す。そして。
「*****************」
「ん!?」次に、彼の口から出てきた言葉に驚いた。
「え!?なに!?」
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