「なんだよ!?」

「いや、呆れている」

「なんでだよ!?」

「こっちは、お前の気持ちが落ち着いたらすぐ家に帰してやろうとずっと待っていたのに、その言いぐさはなんだ。
混乱しているのは分かるがな、だからといって私が悪者にされるいわれはないぞ。
言っておくが、別に私はお前をどうこうするつもりはない。だからお前の身に危険はない。
再三いうが、私はお前が状況を飲み込めるのを待っていただけだ」

「え!……え?そうなの?」

「はじめにそう言ったつもりだったんだがな」

「じゃあなんでこんなとこ連れてきたの?」

「だーかーらー。一昨日の夜に言っただろう」

呆れ顔から怒り顔になったアゲリハさんに、いまさら事の経緯を説明(アゲリハさんいわく、昨日一度されていたらしいが、全く覚えてない)してもらった。

アゲリハさんがサノトの世界で夜を散策していると、既に寄っていたサノトに酒を誘われ、一緒に酒を飲んでいたら、サノトが店の中で酔いつぶれてしまったこと。

介抱しようとしたがサノトの家が分からない上、サノトが悪酔いから体調不良を訴え始めたので、仕方なく自宅のあるこちらに連れてきたこと。

起きて具合はよくなったものの、状況をまったく信じてもらえず更には夢落ちにされ、気持ちが落ち着くまで今の今まで付き合って貰っていたこと。

「えーと……」

「うん」

「……なんかすいませんでした」

ようするに、サノトがアゲリハさんに散々っぱら迷惑をかけましたっていう話だったのね。おっけい。理解した。

「えーと。繰り返し聞くけど、俺、なにかされるとか巻き込まれてるっていう危険性、ほんとにないの?」

「私がよほどの阿呆でなければ、解剖ならお前が寝ている内にずばっと切るし、監禁ならお前が夢だ夢だとふらふらしている内にがばっとするな?」

「そうっすね」その通りすぎてぐうの音もでねぇ。

「それじゃあサノト。ようやく正気づいたついでに聞くけれどな」

「う、うん?」

「もううちに帰るか?」

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