「なにあれ!?」窓越しに見上げた夜空がおかしい。星が四角い上に大きさがバラバラで、どれが月か星かも分からない。しかもカラフルで、包装紙のよう。

「ま、窓にシートが貼ってあるの……?」

「あけてみようか?」美人さんが窓に手をかけ開けてみせる。肉眼で見た夜空(?)といえば、まったく変わりがない。

「どうだ。これで分かっただろう?嘘じゃなかっただろ?」

「…………」

「それじゃあサノト。気分はもうよくなっているみたいだからお前のウチに帰るか?すぐに準備できるぞ。……おーい。サノト。聞いているか?なぜ頬を思い切りひっぱっているんだ?」

「いや。夢かなって」

「もう起きてるんだぞ」

「冗談よしてよ。起きてるわけないだろ。俺は夢の中だよ」

「サノトー、大丈夫かー?夢じゃないんだぞー」

「なんでほっぺた引っ張ると痛いんだろ……。あ、そうか。痛いのも含めて夢か」

「おーい」

「あのさ美人さん。俺は目を覚ましたいんだけどどうすればいいのかな?夢の住人代表として教えてくれない?」

「うーん。これはだめだな。
分かった分かった。帰るのはお前の気が済んでからにしよう」

とりあえずおなかは空いていないか?と聞かれる。なるほど。夢からさめるためには腹ごしらえしないといけないんだな。

あと、言われてみればすいてるかも。

いやーしかし。おなかまですくなんてリアルな夢だな。

「空いてる空いてる。なに?なんか出してくれるの?」

「簡単なものでいいならすぐに作るぞ」

「作ってくれるんだ。ありがとー」

出来るまで好きにしてくれと言って、美人さんは部屋を退出していった。少し考えてから、背後に控えた窓を見上げる。

「わー、すげー」夢の中の空はよくみるとすごくすごくきれいで、想像力の乏しい自分にしてはよくできたものだった。

飽きずに眺めていると。「できたぞー」美人さんの声が戻ってくる。振り返ると、トレイに料理を乗せた美人さんが、にこにこ近づいてきた。

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