「??」
「えーとえーと、これに関しては私が謝るほうなんだが……。
でも言い訳をするとだな。仕方なかったんだぞ。なにせお前の家を聞く前にお前は寝てしまって。とつぜん起きたかと思えば気持ち悪くて吐くと言うから早急にうちに連れて帰る必要を感じたわけで」
「なんの話ですか?」
「だから、えーと。……うまい説明が思いつかないな。
まあいい。率直に言おう」
「はい?」
「ウチが異世界にあるんだ。
分かるか?異なる世界という意味だ」
「…………」
…………。
……………………。
「酒のんでます?」
「私は正気だ」
「じゃあ俺の酒が残ってる?」
「もう抜けてると思うぞ」
…………。
「やはり驚くよな。すまない。こうなるとは思ってたんだが、お前を介抱するのに場所がいると思って連れてきてしまったんだ」
「いや。驚くっていうより呑み込めない」
「ああ、驚く以前の問題だったか。失礼した。
まあとりあえずそういうわけで、お前の銀行口座はここに存在しないんだ。
金はすぐに下ろせないし下ろせたとしてもいらないから、気にしないでくれ。ようするにそう言いたかったんだ」
「いや。からかってます?ていうかほんとは怒ってる?」
「怒ってないしからかってもないぞ。ほんとうにここは異世界で……」
「起き抜けにそういう冗談笑えないんだけど。怒ってるなら怒ってるって言ってよ。性質わるくてこっちが頭にくるんだけど」
「誤解だぞ!助けたのになじられるのは不毛だ!せっかく驚かれないよう配慮したのに……。
そんな顔でにらむな!ええい!これをみろ!」
からかいに怒りかけたサノトの前で、美人さんはベッドから飛び降りると窓に近づきカーテンをひいた。
ひらけた窓の外は夜空が身近に見えた。星と月がよく見え……「んん!??」見上げる最中に喉がとどろく。転げ落ちるようにベッドを降りて、サノトも窓に張り付いた。
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