「粉砕が前提でもの言わないでくれる!?俺は絶対に砕けたりしないんだから!」
「はいはい。で、結局どーすんの?」
呆れ気味にほほ笑まれる中、猫汰はぴたりと怒りを収めて、から、「今日一日、打開策を考えたんだけどね」冷静な口調で話し始めた。
「ハシノビは、どう考えても他所では直ぐに手に入らないし、詩織ちゃんからもう一回盗むっていうのもかなり難しいと思うの。
だから俺は正攻法を諦めることにした」
「どういうことだ?」
「惚れ薬が作れないなら薬を代える。
俺でも知ってる薬の中でひとつ、惚れ薬の代替えになるものがあったから、それを使うことにした」
「ん??どういうこと??」
「みつ。ミジェルと乾燥花梨とマビタの花ある?あったら分けてくれない?詩織ちゃんにばれないように、ここで作っちゃいたいの」
「ミジェルと花梨とマビタの花?お前それって……」
薬の検討がついたらしい光貴が、「なんでそんなものを?」という顔で首を傾げた。
猫汰といえば、さっそく、薬を作るための構成図を、持参した紙に書き込んでいる。
「あんな薬でなにする気だ?」訝し気な光貴の声を、「いーのいーの」猫汰が片手を振って制する。
「論より証拠を取ってくるから、とりあえずみつは、引き続き俺の恋路を応援しててね?」
*
どうも。中嶋豪星です。ちょっとだけ家庭が複雑だけど、まあなんとかやってるごく普通の平凡な高校生です。
普通に勉強して普通に学校に通って(親は諸事情でいないけど)普通に生活して、を繰り返している俺だけれど、最近ちょっとだけ、その普通に変化が訪れるようになりました。
豪星の暮らすこれまた普通のアパートの近所に、どこでもよく見かける普通のコンビニがあるのだが、そこに、ちょっと普通ではないイケメンが現れるようになったのだ。
ちょっとかっこいい男。くらいなら豪星の通う高校にもちらほらいるので、わざわざ同性の豪星が気に留めることでもないのだが、彼は、「かっこいい高校生」という枠からだいぶ抜きんでたイケメンだったので、豪星の目にも留まってしまう。というわけだ。
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