しかも、ここ最近頻繁に見かけるようになった。そして、大体豪星がコンビニに行く時間に被って、彼が現れたり先に居たりする。

その所為か、彼とはその都度目が合ったりする。そしてその際、にっこりほほえんでくれるので、「あ、俺の顔覚えてくれたんだな」とか「こんなイケメンに微笑まれる機会もそうそうないよなぁ」など、ちょっとミーハーな気持ちが芽生えだしていたりする。

そして今日も、豪星がコンビニに夕飯を買いに行くと、一足先に来ていたらしい例のイケメンがアイスクリームのコーナーに立っていた。真剣にアイスを物色する様も絵になるので、豪星どころか、周りで商品を選んでいる客も、ちらちら、彼を盗み見ていた。

豪星が、アイスのコーナーを横切ろうとした時。ふとまた目が合って、にっこりとほほ笑まれた。その微笑みはなぜか、何時もの数倍機嫌が良さそうで、ちょっとどきっとするほど輝いていた。

笑うだけで相手の体温上げられるなんて、イケメンってすごいなぁ。などと、益体もないことを考えながら、豪星は軽く会釈をして彼の後ろを通り過ぎた。そして、スナックパンの棚とカップ麺の棚をそれぞれ眺めて、夕飯を見繕っていく。

それをレジに持っていき、会計を済ませると、夕飯の入った袋を手に下げてアパートに戻ろうとした。が。

「―――きみ!君!ちょっと!」後ろから誰かを呼ぶ声が聞こえた。まさか自分じゃないよな?と思いつつも、声のする方へ振り返ると。豪星の至近距離に例のイケメンが居たので、ぎょっとしてしまう。

「あー良かった。追いついて」

「え、っと、なにかごようですか……?」

彼が自分になんの用があるのか。まったく検討がつかない。

動揺していると。「さっき君、落とし物したよ?」イケメンが、困った風に笑って言った。

「え?落とし物?」なにを落としたのかな?財布と携帯はポケットに入ってるし、買ったものは袋に入ってるはずだし、他は手ぶらで来たんだけど……。

落とし物にも検討がつかない豪星の目の前で、イケメンは「ちょっとまってねぇ」と言いながら、豪星が落としたらしいものをポケットの中から探り始めた。

彼のポケットから出てきたのは、……小さなスプレーの容器だった。

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