思い出したら食べたくなって、あの時と同じものではないとわかっていつつも、最後のひとつだし、購入しようと思い立つ。
手に取った箱をレジに持っていくと。
「お預かりしま……あれ?こんなのあったっけ……?」
「どうしました?」
「あ。いえ。すいません。……レジ通るし、まあいいか」
店員が何事かつぶやきながら首を傾げていたが、気のせいだったのか、普段どおり袋に入れて手渡してくれた。
買ったチョコエッグを手にうちへ帰ると、コンビニの袋の中から例のお菓子を取り出し箱を開く。
内装は銀紙を使用されていた昔と違い、プラスチックのケースにチョコエッグが入っている。
中身を取り出しプラスチックのケースを開くと中身のミルクチョコをつまむ。おなかが多少空いていたのもあって、そのまま、チョコを口にいれた。
上をかじると甘味が口のなかいっぱいに広がる。昔と同じ味ではないけれど、これもそれなりにおいしい。懐かしさと美味しさを堪能している内に、エッグの中身がころりと手のひらに落ちてきた。パッケージされた食玩は白い猫の形をしたおもちゃで、これまた、チョコエッグにお似合いの愛らしさだ。
チョコを食べ進めつつ、食玩をエッグの中から引っこ抜いて包装をやぶると、せっかくだからとキッチンの傍においておいた。普段は飾り気のない我が家がそこだけ明るくなる。ふふ、と、知らず笑みがこぼれた。
チョコを食べ終えると、一緒に買ったコンビニ弁当も食べて、学校の課題を始末して寝る支度をする。明日は休みだけれど、特にすることもないなと、うとうと考えながら寝入って。次の日。
「……」
「おはよー」
知らない男の人が机に朝食を用意していた。
だれ。
「ダーリン。地球人の朝食、作ってみたけど、どう?へんじゃないかな?地球人の新妻ってこういうご飯つくるんでしょ?」
「……ええと」
どこからつっこんでいいものか。目をごしごしこすりながら考える。
あれかな。夢かな。二度寝しようかな。今日休みだったし。
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