「あ、あのね!なんかね!俺、半年前から病院で検査してるんだけど、性別がね!?おかしくてね!それでね……っ」
『あー……それか。うん。わかった』要領を得ない豪星の言葉から、なにかを察したらしい父親が、『豪星くん。とりあえず明日にはうち帰るから、話はその時しようね』そういうなり、ぶっつり通話を切られてしまった。
そして翌日。
「豪星くん。君の性別異常のことだけどね。それ多分オルファだよ」
ただいまもそこそこに、豪星の対面にすわった父親があっけらかんと言い放つ。
「オルファ……ってなに?」
「あー、えっとねー」
父親いわく。中嶋血族というのは、「先天性異常(産まれた時からの異常)性別」が産まれやすいという。
ざっくりいうと、「まざり」らしい。
「まざりって??」
「普通はさ、アルファとベータ、オメガの性差があるでしょう?けど、僕たちの遺伝って、この、アルファとオメガが混ざっちゃうことがあるの。
血液型で言うと、AB型みたいなものかな」
なんでも、アルファの性器とオメガの性器が同時に存在して、そのどちらも、通常の人間に比べて小ぶりに出来ている、性差未発達、ともいうらしい。
「絶対に遺伝するわけじゃないし、こんな事あらかじめ言っておいたら不安にさせちゃうかと思って今まで黙ってたんだけど、まーものの見事に遺伝したね」
「え?まって、じゃあ俺、未発達のままなの……?」
童貞、処女どころか、使うという選択肢すらないのはきつい。
「いやいや。大丈夫だよ。成長が人より遅いってだけで、25歳くらいまでにはどっちかに成長が偏って、どっちかの性器が前立腺みたいに役目を失い、アルファかオメガになれるから」
僕もそうだったよーと笑う父親にほっとするのも、束の間。
ふと、相手が真面目な顔になる。
「でもね豪星。君次第では、性器がどっちにも偏らずに、そのまま体が出来上がっちゃうかもしれないから、気を付けてね」
「え!」安堵したところに槍をさされてうろたえる。
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