「なにいってんの!?意味わかんないんだけど!!」
「意味わかんないのはこっちなんだけど!?ねぇちょっと!こっちきなよ!!」
大股で近寄る相手から、再び逃げようと奥の窓を目指すも。「はいちょっとまってねー」開けた窓を、父親にがつん!と締められる。
おでこぶつけた!舌噛んだ!いたい!!
「はいはい。猫ちゃんも落ち着いてねー」
「ちょ!おとーさま!!はなして!俺はいま息子さんの方に大事なはなしがあるのー!!」
いつの間にか面識の出来ていた親と相手が、もつれあい、最終的には相手が父親に首根っこを掴まれる形で停止した。
父親が仲裁してすこし経つと、お互いの混乱がようやく火を落とし、豪星はびくびく、神崎猫汰はむっつり不機嫌そうに、再びの対面を果たした。
しばし、沈黙すること数分。
「これは僕の推測なんだけど」はじめに口火を切ったのは父親だった。
「猫ちゃん。これは本人にしかわからない感覚だから、一応聞くんだけど、もしかして、うちの息子、運命のつがいだった?」
「え!?」驚く豪星を、神崎猫汰がじろりと睨みつける。
「なに驚いてんの?豪星くんだってわかってるでしょ?普通、そういうのって一目でわかるっていうじゃん」
「え、いや……」ひとめどころか、いまだにまったくわかりません。とは、相手の形相の怖さに一言も言えなかった。
「ねえ。なんでそんな態度取るの?俺めっちゃうれしかったのに。ねぇ」
「そ、そんなこと言われても……」
「分かってるんでしょ?俺たちつがいなんだよ?俺は一目で分かったよ。だから君だって」
「いやいや。猫ちゃん。嘘ついちゃだめだよ。君だって一目では分からなかったでしょ?」
父親がつっこむと、神崎猫汰が、う、と喉をつまらせる。
「ひとめどころか、うちの息子を何回か見る機会があっても、暫く分からなかったんじゃない?
けど、なにか引っかかるものがあって、たまたま、うちの息子が怪我をしたところを助けるついでに、近づいたんじゃないの?」
「……そうだよ。でもべつに、最終的には分かったんだし、それでいいじゃん。運命だのなんだのって言ったって、感覚って目安でしょ?だったら、個人差だってあるよ。俺と豪星くんがつがいであることにはかわりないから!」
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