『だーりーん!一週間ぶりー!』

心配していた、渦中の人から突然連絡が入った。「猫汰さん!大丈夫ですか!」心配していたので、すぐに安否を確認すると『ばっちりー!』明るい声で返答された。

『来週から学校に復帰しても良いって、お医者さんが言ってくれたし詩織ちゃんもオッケーしてくれたよー!』

「それはよかったです」

『でもでもその前に、日曜日、ダーリンのおうちに行ってもいい?向こうでお土産買ってきたから渡したいの』

「ありがとうございます。ぜひ。何時くらいにいらっしゃいます?」

『じゃあ、午前の十一時くらい』

「分かりました。お待ちしてます」

『うふふ。あとねぇ、ダーリンのおうちにいったら、俺、見せたいものがあるの』

「見せたいもの?なんでしょう?」

『ひみつ。楽しみにしててね』

「はあ。分かりました」

猫汰の快方連絡が終わり、携帯電話を折りたたんだ豪星の隣で。「ねこちゃんから?」寝転んでいた父親が半身を起こしてこちらを覗き込んできた。

「そうだよ。こっちに戻ってくるんだって。日曜日、うちに来るってさ」

「へええ。それは楽しみだ」

豪星から事情を聞いている父親は、猫汰の変化がどこまで進んでいるかに興味を示してきた。

病気の人に対して好奇心丸出しにするな。と言ってやりたいところだったが、豪星とて、「女の子になった猫汰さん」の想像で、後輩と盛り上がったのを思い出し、「ひとの事は言えない」と口をつぐむ。

「ねこちゃん、日曜日の何時にくるの?」

「……十一時」

「そっかそっか!じゃあ僕もうちにいようかな」

父親が、口笛を吹くような軽さで言った。やっぱり注意しようかと思ったけれど、結局やめた。

それから、普通に過ごしている内に曜日は日曜となり。

約束の時間ちょうどになると。自宅の呼び鈴が部屋中に響き渡った。どうやら、猫汰が到着したらしい。

「お、きたきた」テレビをごろ寝見物していた父親が、すくっと身体を起こしてあぐら座になった。

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