それから、次の日。学校へ登校してみると。いつもは豪星より先に来ているはずの猫汰が教室の中にいなかった。
昨日のことを思うと、今日は休むことになったのかな。と思っているところに着信が入る。相手は猫汰だ。
「もしもし?猫汰さんですか?」四コール目で通話に出ると。『あ、ダーリン。おはよー』すぐ、猫汰の声が聞こえてきた。
『あのねぇ、俺、今日休むからそのれんらくしたくて電話したー』
「そうですか。分かりました。お大事に。
あと……その後の経過はいかがですか?」
『んー。今のところ俺はなんともないんだけどね。もー詩織ちゃんの方があせりにあせっちゃって。
身体の検査のために、俺、一週間がっこうお休みすることになったの』
「そうなんですか」
『そうなのー。一週間もダーリンに会えないなんて寂しくてそっちの方が俺心配だから、休んでる間しょっちゅう電話してもいい?』
「構いませんよ。ずっと電源つけておきますね」
『ありがとー、……あ、詩織ちゃんが呼んでる。そろそろ切るね』
「分かりました。度重なりますがお大事に」
『ありがとー』
猫汰が通話を切って、豪星も、折りたたみの携帯をカバンの中へとしまい込んだ。そして、空席となった猫汰の机を眺める。
彼がここに戻ってくるまであと一週間かかるらしい。本人が元気なので失念気味だが、重い病気なのだから当然の期間だと思う。
むしろ、一週間ほどで、人の身体が反対に変化した病気をどうこう判断しきれるものなのだろうか。
それこそ、あとあと入院や手術なども必要になってくるのでは。
そうなると、もしかしたら彼の休みは延長するかもなぁ。――――なんて思っていた予感が、その後ばっちり的中した。
当初、休む期間は一週間と宣言していた猫汰だったが。その週の半ばごろ。『……ダーリン、あのね』夜に電話をかけてきた猫汰が沈んだ声をにじませた。
『学校お休みする期間、長引くことになっちゃった』
「あー」だろうな。とは思っていたので驚かなかった。
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