それを、「なんだろう?」と思いつつ、そっと遠くでながめていること数十分後。

「……ふー。キリの良いところまでかけた」肩を揉みながらすっくと立ち上がった猫汰が、さっと時計を確認するなり。「あ、もうこんな時間か」キッチンの方へと吸い込まれていった。

そして、また数十分後。

あつあつの料理が数品、リビングの机に並べられ、「だーりーん。遅くなってごめんねー、ごはんにしよー」一緒に食べるよう促される。

とてもお腹が空いていたので直ぐ席につくと、出来立ての料理を頬張り始めた。

が。その最中。

「ねえダーリン。りゅーちゃんってさー、ごはんよく食べるじゃない?実際はどれくらい食べるのかなー」

「さあ?結構底なしですけど、正確には分かりません」

「そっかー。それでさー、りゅーちゃんってあれだけよく食べるけど、なにが一番好きなのかな?野菜?魚?やっぱり肉?」

「お肉だと思いますよ」

「そうなんだー。具体的にはさぁ、どのお肉が好きなんだろう?牛?豚?鳥?」

「うーん。どうだろう。そんなに意識してみたことないですね……。
あ、でも。龍児くんの家に遊びにいくとよく出てくる肉は豚ですかね」

「いつ遊びにいった話???」

「えっと……その……ずっと前の話、です……」

「ふん。まあいいや。今回は見逃してあげよう。
でもそうかー、豚かー。りゅーちゃんのおうちは、豚のどこの部位をよく出すんだろう?」

「さあ……そこまでは……」

いつになく、猫汰が龍児の話題を豪星としたがってきた。

ものすごくめずらしいな。と思いつつ、彼が求めるまま龍児について。を話し込んでいると、いつのまにか夕食がなくなっていた。

夕食が終わると、猫汰は机の上を片付け、それをキッチンですべて洗い終えると。再びパソコンの前に座ってカタカタとキーボードを叩き始めた。

常ならば、豪星と一緒にソファに並んで座り、バラエティ番組をひやかしながらお茶とお菓子をつまむのが好きな猫汰のいつにない行動に、ひとり首を傾げていると。

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