…………。

「あっはっはっは!」聞いてすぐ爆笑してしまった。

いやだって、ないない!

「ないってふーかちゃん!それはない!
ものすごーく不本意だけどね、りゅーちゃんは俺の彼氏にお熱なわけですよ!
もうダーリン以外なにも見えないみたいな感じなのね!それをさー!仲良いからってあの二人のどっちかにお熱切り替えるわけなくね?
ふーかちゃんが腐女子だからってそれはちょっと無理やりすぎるってー!そんな可能性ないってー!」

猫汰がげらげら笑っている反対側で。「神崎くん」一蔵楓花がぴりっと辛めの声を出した。やべ。怒らせたかな。

あまり彼女を怒らせると、最近出来た超楽しい趣味の供給が減ってしまうので、大人しく笑いをひっこめる。

笑いを押えたところで。「あのね神崎くん」彼女が、猫汰の目を見つめながら、ゆっくりと話し出す。

「私と、まず仮定の話をしましょう?あくまで仮定ね?」

「仮定?なにそれ?」

「私、ここしばらく須藤龍児くんを観察していたのだけれどね、彼多分。もう中嶋くんの彼氏になろうとかは考えてないと思うわよ?」

「えー?なにそれどうして言い切れるの?」

「前より接触が減ったの」

「え?」

「以前はもっと、中嶋くんにべったりしようとしてた気配があったんだけれどね、ここ数ヵ月は落ち着いてるの。
頻度を数字に表すと、以前が8割、今は2割ってところかしら。気づかなかった?」

「…………」言われてみれば。最近、りゅーちゃんがきても、ダーリンとちょっと離れて座るようになったような。

いやしかし。よく見てるな。

女が目ざといのは知ってたけど、その技能はこういうところでも発揮するんだな。あきれるやら感心するやら。

「彼、ちょっと今時いない感じの、義理固そうなタイプじゃない?そういう性格を考慮した上で私考えたのよ。
ああ、もしかすると神崎くんが女の子になったから、彼、遠慮するようになったんじゃないかなって」

「…………」

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