「だったらどうして、中嶋くんは神崎くんと付き合ってくれたんでしょうね」

おお。今の話でダーリンが、おしゃれしなくて地味でたいがいなんにでも一線引いててひとかわむくと気が強くて、そして俺みたいなタイプには絶対近寄ってこない。つまり俺のタイプだということを見抜いた。さすがふーかちゃん。あたまいいー。

「どうせ神崎くんの方から中嶋くんのこと好きになって、強引にいったんでしょ?あなた、強引に行けばたいがいなんとでもなると思ってそうだし」

「ううん?ちがうよ?ダーリンから告白されたんだー、俺」

「ええ?うそでしょ?」

「うそじゃないもーん」

「ちょ、そこくわしく聞かせて。気になる」

「えー?こればっかりは俺とダーリンのうつくしい思い出だしなー。秘密にしておくと甘くなるものってあるじゃない?」

「教えてくれたら、今書いてる神崎くんが原野くんに手を出されて、中島くんがそれに嫉妬して無理やりからの和姦解決の新作、いち早く読ませてあげる」

「なにそれくわしく!!」

お互いの手札をいつもどおり、ああだこうだと交換しおわって。

「ひゃっほう!!新作!!しかもネタが俺のストライク!!」無事、文学友達から賄賂という名のデータをスマホで頂くと、猫汰は洗いざらい、彼氏との出会いがしらのストーリーをぶちまけた。

その話は結局膨らみに膨らみ、結構な経過を果たしたのだが。

「ところで神崎くん。ちょっとあなたに意見を聞きたいんだけど」

途中、一蔵楓花にストップをかけられた。

「え?なに?」

「あのね。前々から気になってたんだけど。あの後輩くんはどっちと付き合う予定なのかしらね?」

後輩?……後輩ってりゅーちゃんのことかな?

さっきちょうど、猫汰の話が「進級したら、りゅーちゃんが俺とダーリンの間に挟まってきてむかついた」ところに差し掛かっていたところだし。

けど、「どっちと付き合う」ってなんの話だろう?

「ふーかちゃん、なんのはなし?」率直に尋ねると。

「そりゃもちろん。須藤龍児くんは、彼と仲の良いあの双子兄弟のどっちと付き合うかよ」

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