それから、彼の苦しみが解放されたあとに興味本位で尋ねてみた。
あの時の痛みってどのくらいなんですかね?と。そうしたら。「あー……」微妙な顔をされた。
「多分、ダーリンに言ってもわかんないと思う。生理の時の痛みって持ってる臓器が違うと説明しづらいんだよね。俺、元男だからそのへんすげーよくわかる」
「そんなもんなんですかね……」
「うーん。そうだね。あえて説明するとなれば。ダーリンのシモをね、雑巾絞りするとするじゃない?」
「ひぇっ」あんまりなたとえに悲鳴がもれる。
「ねこたさん……そこは……しぼっちゃだめなところですよ……」
「あーうん。だよね。でも多分それが一番分かりやすくて近いから。
でね。その絞った際に出る痛みが、30秒に一回、下手すると何時間も続くかんじ?」
「ひぇええ」聞いてる豪星が真っ青になりそうだ。
俺無理。そんなの耐えられない。
そんな風に考えていた最中、ふと、「俺さぁ、生理のきた女ってめんどくせーって、実は思ってたのね」猫汰が遠い目をして口元をひきつらせた。
「生理前後で機嫌すげー悪くなるし、はらいたいってうるさいし。
でも、そんなことを考えていた時の俺を、今の俺はぶっ殺すぞてめぇって思ってる」
「だ、だめですよ。そんなこと思っちゃ……」
「分かってるよ。つうか殴りたくてもできねぇし。
だから、ダーリンは生理中の俺のこと大事にしてね。ぜったいだよ?」
「は、はい。わかりました。大事にします」
「うふふー」頷くと、猫汰が大変ご満悦そうに抱き着いてきた。腕にほおずりされる。
「はー。俺の彼氏が優しくてよかった。ごめんね?生理中すごく当たっちゃって」
「いえ。あの、痛そうでしたし……」
「はー。ダーリンってばほんと優しい。俺だったら女にあんなことされたらその日に別れてる。
……俺と別れないよね?」
小首をかしげてすがるように言われると、ちょっとドキっとする。
「は、はい」目をそらすと、今度は額をこすりつけられた。
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