「買ってきてってば」二度言わせんな。と言わんばかりのいらいらと共に、じろっとにらまれた。
「俺の好きなメーカーのナプキンいますぐ薬局で買ってきて」
「ええ!?俺男ですよ!?」
「ナプキン買うのに性別の免許いるの?」
「そ、それはっ」
「はい。パッケージこれね。同じの買ってこないと怒るからね?」猫汰が続いて、開封済みかつ、中身が空になっているパッケージのビニール袋を投げてよこした。慌てて掴む。
「いや、でもっ、あの、は、はずかし……っ」
「うるせぇな!お前の羞恥で痛みひいてりゃわけねぇんだよ!!」
良いから10分以内に買ってこい!!と怒鳴られ、その剣幕があまりに恐ろしかったので、半ば逃げ出すような形で部屋を転がり出た。
猫汰のマンションを出ると、急いで、ここから一番近い薬局に駆け出して行く。
10分以内は実際かなり難しかったけれど、1分でも早く戻ってこなければ、あの剣幕が更に悪化することは間違いない。
いやしかし。なんて理不尽なんだ……とは思いつつも、豪星はなくなくそれを飲み込んで、息を切らせながら薬局にたどり着いた。
急いで出入り口を潜り、急いで生理用品コーナーに駆け込んで……から、勢いが落ちる。
普段は畑違い過ぎて近寄るどころか視界にも入ることのない商品の数々を目の前にして、豪星は説明のしづらい羞恥心に苛まれていくのがありありと分かった。
顔があげにくい。誰か後ろで俺を見て、「あの人男なのになんであんなところに立ってるんだろう?」なんて思われてやしないだろうか。
目も手も怖気づいて、猫汰の言う「これ買ってきて」というパッケージを探すのに一苦労したが、なんとか奮起して探し出し手に取ると、急いでレジに飛んでいった。
探すのも恥ずかしければレジに出すのはもっと恥ずかしい。けれど、買わなければあの部屋に帰れない。
豪星はここでも奮闘して、なんとか目的のものを購入すると、ほっとするやら「あそこの薬局しばらく使いづらい」と思うやら、複雑な心境を抱えたまま猫汰の待つマンションへと戻っていった。
そして。
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