実際に訪れた途端、猫汰は地獄を見たかのように苦しみ始めたのだ。

彼曰く。「すげー痛い!!なにこれ!!」だそうだ。

ちなみに。豪星がこの状態を見るのは数度目だ。

「だーりんおなかさすってぇえええええ」

「は、はい。ここですか……?」

「ちがう!そこじゃない!へたくそ!」

「す、すみません……」いたわっているのになじられ叩かれて。踏んだり蹴ったりな豪星だったが、あえて何も逆らわなかった。

なぜかといえば彼の顔色が真っ青だったからだ。

力のないこぶしでぽこぽこなぐられながら、女性って大変なんだなぁと考える。

「猫汰さん。そんなに痛いなら薬を飲んだほうが……」

「医者に!!性換発症1年以内は指定の薬以外のむなってとめられてんの!!鎮痛剤もらってるけどそれが効かないの!!」

「す、すみませんそうとは知らず……」なにも悪くない気がするけど謝ってしまう。そのくらい、彼氏のいたがりようが尋常ではなかった。大変だなぁ……。

しばらく、豪星を痛くない程度に叩いたり、豪星の膝にクッションを置いて枕にし、おなかを抱えて寝そべっていたりした彼だったが。

その内、すっくと立ちあがると、トイレに入っていった。

が。ものの数秒で「俺の好きなナプキンがない!!」豪快な音を立ててリビングに戻ってきた。その顔には鬼のような形相が浮かんでいる。

「な、なぷきん?」

「シモの血液受け止めるアレだよ!!」

「あ、あれですか……さようですか……」

「俺のすきなやつが切れちゃった!!試しに前買ってみたやつならあるけど俺あれごわごわしてて嫌いなの!!こんなに腹痛くてしんどいのにその上ごわごわしてるなんていやなの!!」

一息にそう言うなり、猫汰は豪星の脇をすり抜け自分の鞄をひっつかんだ。

そして、乱暴に中を探って財布を取り出すと。それを豪星に放り投げてから言った。「買ってきて」

「ええ??」何を言われたのかわからず、財布を手にぽかんと猫汰を見上げる。

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