「しかも俺、胸がFサイズあるんだよねー」
「え……っ」
「えふ……!?」
猫汰の暴露に、それまでげらげら笑っていた双子がぴたりと黙り込んだ。
いや。双子どころか、教室中の男子が黙り込んだような……。
「ちょ。……けんじ。えふってどのくらい??」
「い、いや。どうだろ。えふなんて生で見たことないから……せいぜいでぃーとか」
「えふって、あれなの?AVといっしょなの??」
「まじか。えふとか実在するんだ。盛ってるんじゃないんだ……」
ひそひそ話し込んでいた双子の視線が、同時に、ちらりと猫汰の方に振り向く。そして、胸の上に視線が集中するのを。「ちょ、ちょっと」豪星が身体でふさいだ。
「だめだよ。そんな。女の人の胸をじろじろ見ちゃ……失礼だよ」
「ダーリンの言えた言葉じゃなくね?」
「ねこたさん!シッ!
と、とにかくだめだから。ね?」
後輩二人に「しつれいだからね?」二度念を押すと、念を押された本人たちが再び顔を見合わせてから、「「へぇええ?」」にやにや顔でこちらを振り向いてきた。
「なになに豪星先輩。いつもより彼氏ヅラつよくない?」
「なになに?今更彼氏の自覚芽生えちゃった?それともあれなの?猫先輩が女の子になったらめっちゃタイプだったりした?」
「うっ、……いやその」タイプかどうかって聞かれると。……俺のタイプがどうこうよりも、このレベルの女の人がタイプじゃない(しかもF)男っているの?
「ダーリン!そこくわしく!」
「ううう」本人にも追求されるし……四面楚歌。
三者二葉にからかわれ、たじろいでいる最中。
突然、教室の扉がガラガラ!!と、豪快な音を立てて開いた。あの躊躇のない開け方は……。
「あ、龍ちゃーん!こっちこっち!」
へんじが扉に向かってぶんぶんと手を振っている。やっぱり龍児だった。
そういえば珍しく龍児がいないなとは思っていたが。どうやら用事があったらしい。
「龍ちゃん。先生のお説教終わった?」
20>>
<<
top