「はぁああああああ!!?俺は男でも女でもダーリンにとって常にベストだろ!!?ふざけるな!!男でも女でも俺は猫汰さんが好きですくらい、俺の彼氏なら言いやがれ!!!」みたいな感じで胸倉掴まれそう。
うん。こういう想定が出来るようになるほどは、彼と付き合い長くなってきたな、俺。
「どうしたのダーリン?だまりこんじゃって」
「いえ。今日のシチューが美味しすぎて言葉を失いました」
「えー?やだもー、ほめすぎー」
余談だが、このシチューは本当に美味しい。
夏休みにみんなで離島に旅行した後くらいから、猫汰はなぜかまともな料理を作り出すようになったのだ。
これも本人いわく。「最近気づいたんだけど、ダーリンってほんとはシンプルな味付けのほうが好きなんでしょ?」だそうだ。
そういう問題じゃないんだけど、なにはともあれ料理が美味くなったので否定しないでおく。
……けど、たまには前のとんでも料理も食べたいな。今度頼んでみようかな。
「どーしたの?また黙り込んで」
「いえいえ。手作りローストビーフが美味すぎてまた言葉を」
同じような会話を二度繰り返して楽しく料理を食べ進め、皿の上が空になると。
「ダーリン。もうお風呂いれてあるからはいっちゃってー」
「はい。すみません。お先にいただきます」
上げ膳据え膳の上風呂まですぐに入れるという至りつくせりで、早々に湯につからせてもらった。
風呂から出ると。ほかほかになった豪星と入れ替わって、猫汰が浴室へと向かった。
「最近寒くなってきたし、あったかくしててね、風邪ひいちゃうから」
「はーい」
「蒸しパン作ってあるから、好きに食べていいよー」
「わーい!ありがとうございますー!」
リビングの机を見ると、夕飯を食べつくした食器の代わりに、むっちりとした蒸しパンが二つ、おかれていた。
まだあつあつのそれをむちむちと食べやすい大きさにちぎり、もくもく口に放り込んでいく。
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