「……で……して……なんだけど」
「へー。……なんだ。……うわぁいたそー」
「そんなことないよ。だってもう………だし………で……。
おーい。ダーリン。もうグロい話終わったよー」
「すみません……」
「いいのいいの。
というわけで、俺、女の子になりました。
おとーさま。息子さんには、俺が女の子になっても嫁に貰ってもらうよう約束を取り付けてありますので、これから俺のことは、息子さんの結婚前提の彼氏ではなく彼女と認識しておいてくださーい」
……ん。約束したっけ??
言われた覚えはあるけど、したっけ??
「おっけーおっけー。まあ僕、孫とかどうでもいいから、ねこちゃんが男の子でも女の子でもどっちでもいいけどね。
豪星くんが健やかに生きていくのを助けてくれればそれでいいから」
「おっけーまかせて!そっちはばっちり!」
ばっちり。……かな?
女性になっている時点で健やかというより波乱万丈な気がしないでもないけど。
いやまあそれよりも。そろそろ組んでいる腕を離してもらえないかな。
その……胸が……ずっとあたってるのが……ちょっと。
「ところでダーリン。俺の胸、DからFサイズまでふくらんだよー」
「……なぜ突然その話題を」
「だってダーリン。さっきからちらっちら俺の胸見てるから」
ばれてた!
*
こちらに戻ってきた猫汰だったが。復学するのにあれこれと準備が必要らしく。まだしばらくは休学するとのことだった。
その間。身体はもう大丈夫なので遊びに来て欲しいと猫汰に請われ、豪星はたびたび、休みや学校の帰りに猫汰のマンションへと赴いていた。
そして、遊びに行くたびに思うことがひとつある。それは。
「だーりーん。来てくれてありがとー。学校おつかれさまー」
「……また一段と部屋が可愛らしくなりましたね」
彼の部屋が段々と、女性趣味になっていく。ということだった。
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