弟のドレス姿を撮りまくっては、「僕の猫汰が花嫁に!」なんて叫んでいる。親族になる人のああいう姿を見ていると、嫁になる人を大事にしなくちゃなあって、あらためて思うものだ。
着替え終わった俺たちは、用意された檀上にのぼるとお互いに向き合った。神父のいない式にしたので、誓いの言葉はない。このままキスするだけだ。
けど、あらためて、それもひと前でキスをするとなると、ものすごく緊張する。
どのタイミングでキスをすればいいのやら、分かりかねていると。
「せーちゃん」ふと、名前を呼ばれたかと思いきや。向こうからキスされた。
「……いつもいつもすいません」謝るところじゃないんだけど、つい謝ってしまう。俺からすべきことはいつも、彼がやってくれているから。
そういえば、プロポーズもこの人からだったなと、今更気づく。
「ううん。いいの」猫汰がくすくす笑って、頬を撫でてくる。
「ねえせーちゃん」
「はい?」
「ずっといっしょにいようねぇ」
「はい。もちろん」
うんと頷き、今度はこちらからキスをする。
拍手喝さいのなか、俺たちはお互いの手をつないで、つよくにぎりあった。
ねえせーちゃん。俺思うんだけどね。
俺が君の所為で死んでしまえば、君は俺のことをずっと忘れないと思うんだ。
だからせーちゃん。
ずっといっしょにいようね?
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