礼を行って受け取り、重い袋の中をのぞくと、大きなかぼちゃがひとつ、ごろっとつめられていた。
「おおきいかぼちゃだね」
「働いてるスーパーが発注まちがえて、たくさんあまってたのを皆でもらったんだ。たべきれなかったから、久しぶりに顔を見がてら、お前にもあげようと思って」
「そうだったんだ。ありがとう」
早朝に寄ったのは、これから仕事があるかららしい。
少しの時間でお互いの近況を話し合ってから、出勤するジャックを見送った。
「いま住んでる住所はこれな。おれ、しばらくひとりでいるから、いつでも遊びにこいよ」
「うん。分かった。それじゃあまずは、スーパーで働いてる龍児くんをみにいくね」
「それはべつにいい。はずかしい」
「あはは」
昼になると、「せーちゃーん。きたよー」猫汰がご飯を作るため豪星の元へやってくる。勝手知ったるウチの中へあがりこむと、ついさっき買ってきたらしい、食材の入った袋をキッチンの脇に置いて。
「あれ?なにこれ?」そのとき、猫汰がべつの袋を見つけてしゃがみこんだ。龍児から今朝もらった、かぼちゃの入った袋だ。
「せーちゃん。どうしたの?このかぼちゃ」
「今朝、友達がひさしぶりにたずねてきてくれて、その時くれたんです」
事情を説明するなり、猫汰が、かぼちゃと豪星を見比べながら「ふうん?」と鼻をならした。不満げだ。
「友達なんていたんだ?初耳なんだけど?」
「そういえば言ったことなかったですね。といっても、俺が友達って呼べるのはその人だけなんですけど」
「言い方がずいぶん親密だねー?どういう人なの?男?女?歳近いの?」
「全部わかりません。相手はジャックなので」
「え?どういう意味?」
不満を混乱に変えた猫汰に、ジャックの定義を説明すると、「はあ……」話の終わりごろ、相手がつと溜息をこぼした。
「おばけの友達はおばけって訳か。つくづくややこしいな」
「すみません」
「べつにいーよ。それより、そのお友達の彼のこと、随分大事そうにしゃべるけど、まさか俺、ふたまたかけられてないよね?」
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