最近は、定例会に出ない吸血鬼も多いって聞きますけど、俺は協会にとてもお世話になっているので、なるべく顔を出すようにしています」

「なるほどねー。でも、そんなわざわざ数を数える必要があるの?」

「さあ。俺ははしもはしくれなので、偉いひとたちの考えてることはよくわかりません。けど、聞いた話だと、俺たちが生き残っている数は、俺たちが思っている以上に少ないから、5年に一回数を数えて把握している。らしいですよ?協会のお世話になっていない吸血鬼も、けっこういるらしいですからね」

「そうなんだ。そんな稀なひとと恋人になれるなんて、俺たち運命の恋人みたいだねぇ」

「そうですか?」

「うん。でも、服がダサいこととは関係ないから、すぐに買いにいこうね?」

きっぱり断言すると、彼氏ががっくり、あおざめる。

「ふふ」

正装してがっかりしてるせーちゃんもかわいい。

正装バージョンの彼氏にこの顔をさせたくて、わざと上げ下げしたのは、ここだけのはなしだよ?





夏が過ぎ、涼しくなった秋の早朝。

豪星の家のインターホンを、朝っぱらから誰かが押した。

「はーい」誰だろう?セールスにしては早すぎるし、猫汰はインターホンを押さないし。

首をひねりつつ扉をあけると。

「ひさしぶり。豪星」

豪星よりも背丈のある、二十歳くらいの青年が、大きな袋をさげて立っていた。

「ひさしぶり」とあいさつされたので、知り合いだと思うんだけど、はて、彼に見覚えが……うん?あるな?あるけど。

「もしかして、龍児くん?」数少ない知人の中で、最もあてはまるであろう人の名を呼ぶと、「うん、そう」すぐ、肯定が返る。

「やっぱり龍児くんなんだ。驚いたよ。最初に会った時も最後に会った時も、十歳くらいだったのに……」

彼とは久しく会っていなかったけれど、十年の月日はさすがに流れていない。精々一年くらいだ。

そういえば、前はひと月に一度は会っていたのに、会わずに一年空いたのは初めてだ。なにかあったのだろうか。

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