だから、十五を過ぎてものんびりしたものだった。
血液の配給は減るものの、申請している限り絶対になくなる訳ではない。ちびちび飲み続けていれば不便しなかったし、なにより、混血の利点として、血液以外にも、人間の食事で栄養をまかなえることが出来たのだ。
だから。やる気の出ないことを無理にすることもないだろう。そう思っていた。
思っていたのだ。十八歳になるまでは。
なめていた。自分が成長するということを。
成長期に必要な栄養が、食事だけでまかなえなくなることを予測できていなかったのだ。
気付いたころには既に時遅く。どれだけ食事を食べても足りることのない、栄養不足という名の「血液不足」に、豪星は日々悩まされることとなった。
*
おなかすいた。
大通りからちょっとそれた、抜け道に使う路地の真ん中で、豪星は身体を抱えうずくまっていた。頭がぐらぐらして、目の前がちかちかして、吐き気がする。
一度うずくまると立ち上がるのが億劫で、その場から一歩も動けなくなってしまった。こんな状態が、年明けからずっと続いている。
初めは季節の変化による体調不良だと思っていたが、日に日に悪化して治らない体に怯えて、医者に診てもらったところ。
「ああ。栄養不足からくる貧血だね」と診断された。
医者いわく。血液を、同じ年ごろの吸血鬼よりも低く採っていたのが災いしたらしい。
これも医者いわく。成長期には、混血も大量の血を必要とするらしい。
「それじゃあ、血液の配給量を増やしてください」と願い出るも、にべなく却下されてしまった。「それでは君の為にならない」とのことだ。
「我々は吸血鬼の未来のため、将来のある子供たちをサポートすれど、見返りのないニートを養うつもりはない。
君に血液狩りをするつもりがないのなら、協会も君の今後をサポートすることに異議を唱えるだろう」と一蹴されては、ぐうの音も出ない。
結局、医者は造血剤と幾日分の血液パックを処方して、豪星の元を去って行ってしまった。
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