だから、十五を過ぎてものんびりしたものだった。

血液の配給は減るものの、申請している限り絶対になくなる訳ではない。ちびちび飲み続けていれば不便しなかったし、なにより、混血の利点として、血液以外にも、人間の食事で栄養をまかなえることが出来たのだ。

だから。やる気の出ないことを無理にすることもないだろう。そう思っていた。

思っていたのだ。十八歳になるまでは。

なめていた。自分が成長するということを。

成長期に必要な栄養が、食事だけでまかなえなくなることを予測できていなかったのだ。

気付いたころには既に時遅く。どれだけ食事を食べても足りることのない、栄養不足という名の「血液不足」に、豪星は日々悩まされることとなった。







おなかすいた。

大通りからちょっとそれた、抜け道に使う路地の真ん中で、豪星は身体を抱えうずくまっていた。頭がぐらぐらして、目の前がちかちかして、吐き気がする。

一度うずくまると立ち上がるのが億劫で、その場から一歩も動けなくなってしまった。こんな状態が、年明けからずっと続いている。

初めは季節の変化による体調不良だと思っていたが、日に日に悪化して治らない体に怯えて、医者に診てもらったところ。

「ああ。栄養不足からくる貧血だね」と診断された。

医者いわく。血液を、同じ年ごろの吸血鬼よりも低く採っていたのが災いしたらしい。

これも医者いわく。成長期には、混血も大量の血を必要とするらしい。

「それじゃあ、血液の配給量を増やしてください」と願い出るも、にべなく却下されてしまった。「それでは君の為にならない」とのことだ。

「我々は吸血鬼の未来のため、将来のある子供たちをサポートすれど、見返りのないニートを養うつもりはない。

君に血液狩りをするつもりがないのなら、協会も君の今後をサポートすることに異議を唱えるだろう」と一蹴されては、ぐうの音も出ない。

結局、医者は造血剤と幾日分の血液パックを処方して、豪星の元を去って行ってしまった。

3>>
<<
top