「あれ?なんだ。猫ちゃん、息子と同棲してるわけじゃないんだ」

「その内する予定ですけどね。いまのところ通い妻ですよー」

「あはは。そうなんだ。それじゃ、帰りがてら近くのコンビニ案内してくれない?タバコ買いたいから」

「わかりました」

彼氏に見送られながら、彼氏の父親と並んで夜道を歩く。

星の綺麗な夜だった。夜空をながめながら適当にしゃべり、コンビニに案内して、相手がタバコを買ってから、見送るため外で待っていると。

「ねえ。猫ちゃんってさ、豪星くんとこれから、どうなりたいって思ってる?」

「え」戻ってきた相手に、とうとつに聞かれた。答えに詰まる。が、内容が内容だし、聞かれた相手が親なので、真剣に考える。

「……おとーさま、俺ね、せーちゃんのこと大事なんだぁ」

「うん。そんな風に見えるね」

「そうなの。

そりゃ、初めは顔がタイプだったから、吸血鬼と付き合うなんて面白そうとか、そんな風に考えてたんだけど。

一緒にいるたび、この子のこと、大事にしたいなぁって、すごくおもうようになったの」

「うん」

「俺ね、女の子とはいっぱい遊んだけど、男の子ひとりをこんなに大事にしたいって思ったのは初めてだよ。

だから、これは俺の初恋なのかもね」

「それが魅了のせいだったとしても?」

「うん。俺がせーちゃんを好きな事には変わりないから」

「そっか」

相手が、とてもやさしい顔で笑ってから。

複雑そうに眉をしかめる。

「……おとーさま?」

なぜそんな顔をするのか、訪ねる前に。がしゃん!と、後ろで音がした。振りむくと、顔を真っ赤にした彼氏が、恥ずかしそうに立ち尽くしている姿が見えた。

「あれ?せーちゃん。どうしたの?」

「ね、猫汰さん。スマホ忘れてたから、あの、おれ、追いかけてきて……あ!すみません!スマホ落とした……っ」

「ああ、いいよ。ケースちょっと傷になっただけみたいだし」

落ちたスマホを拾おうとした手を、「あの!」彼氏がつかむ。

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