驚愕の自己紹介に、再び声がぶっ飛ぶ。

そういえば、吸血鬼の父親がいて、人間の母親は病気で亡くなってるって、彼氏が前に言ってたけど。これが例の父親なの!?

まってまって!顔立ちがあんまり似てない……っていうのもあるけど、それよりも、十七、八の子供持ってる歳に見えないんだけど!

精々二十歳前後の、兄弟とか従兄にしか見えないんだけど!?

「きゅ、吸血鬼ってまさか、歳とらないの……?」おそるおそる尋ねるも、「あれ?きみ、僕が吸血鬼だってこと知ってるんだ。ますます正体不明だね」まったく別のところに疑問をさされた。

「うんまあでも、知ってるんなら話は早いね。

そうだよ?僕たちね、歳はとるんだけど、見た目の歳は二十歳前後までいくとほとんど変わらなくなっちゃうんだ」

不便だよねぇ。と、彼氏の父親が笑う。

その笑い方が、彼氏にちょっとだけ似て見えた。

「ずっと若いままなんて、うらやましい気もしますけどねー」

「まあ、どう不便かはなってみないと分からないさ。

それよりも、ほんとのほんとに、きみはだれ?」

「あ、そうそう。すみません。あなたの息子さんとお付き合いしているものです」

直ぐに頭を下げて、このままいけば義理の親になるであろう人に挨拶すると。

「…………」不意打ちで鉄砲をくらった。みたいな顔をされた。

あれ?同性愛に偏見のある人なのかな?いや、偏見のある吸血鬼なのかな?

「……魅了が同性に効くの?ああいや、あの子は混血だし、遺伝がめちゃくちゃになってるのかな」

「おとうさま?どうされました?」

「ああ、ごめんひとりごと。

そっか、君は豪星くんの彼氏なんだね。ってことは、君が、うちの息子に血をあげてるのかな?」

「その通りです」さすが吸血鬼。話が早い。

「おたくの息子さん。今成長期の真っただ中みたいで。もー毎日まいにちおなかすいたはらぺこだって言っては吸われまくってて、こちとら身がもちませんよ」

「………そっかー。ごめんねぇうちの子が迷惑かけてるみたいで」

「いえいえ。ただのノロケです。噛まれると痛いけど、吸われてる間は割と気持ちいいですし。なんでか傷あと残らないし」

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