「わーい!」

「ああこら!飛びつくな!いでっ!いきなりかむな!」

これもうちょっとしつけないとだめだな!

けど吸血鬼ってどうやってしつけるんだろう!

「……明日、犬のしつけ本でも買いにいこうかな」

「なんのはなしですか?」

「なんでもない。せーちゃんには関係あるけどないから」

「???」

血を飲み終わった彼氏が、俺の首から口を離してくちびるをぬぐうと、「ごちそうさまです」礼儀正しく挨拶して、すぐ。

「ところで猫汰さん。おなかがすきました」またしれっとつなげるので、脱力した。

「……今飲んだでしょ」

「食事のほうです」

「ああ。血と食事は別なんだっけ」

ハイブリット車じゃあるまいし。混血ってめんどくせぇ作りしてんな。まあいいけど。

「今日のごはんはなんですか?」

「レバニラだよー」

「わーい、レバニラ大好きです」

「すぐに作っちゃうから机で待ってて」

「はーい」

「あーだるい。さっさとつくろ……」ふらつく体をふるいたたせながらキッチンにたつ。

折角恋人に食べてもらうんだから、もっとこった料理とか作りたいのだけれど、貧血のせいでそれがままならず、最近はもっぱら手抜き料理ばかりである。

ああ、くちおしい。俺料理すきなのに。

「俺、猫汰さんの料理すごくおいしいので大好きです」

「はいはい。お世辞ありがとう」

「お世辞じゃないですよ?ほんとに美味しいです」

まあ、ずっとカップめんばかり食べていたような子だから、手料理なら手抜きだって美味しいよね。

「良い匂いです」

「もうすぐできるよー。つくえに運ぶの手伝ってくれる?」

「分かりました」

机で待機していた彼氏が、横にならんでごはんを盛り付け始める。その最中。

「そういえば猫汰さん」

「なに?」

12>>
<<
top