「あのっすねー先輩!」
「実は、龍児のことでお願いがあるんすよ!」
「うん?どうかしたの?」
「いや、豪星先輩じゃなくて、どっちかっていうと猫先輩っす!」
「は?俺??」
「そうっすそうっす!」
「イケメン先輩!急で申し訳ないんすけど、龍児の勉強みてやってくれませんかね!」
「はー??」
なになに?どういうこと?と言った風に猫汰がまゆをしかめる。
ふたりは、龍児を掴んだまま豪星たちの机に近づくと、「まずはこれ、見てください」片手でなにかを差し出してきた。
「なんだこれ。双子の成績表?」
「そっす!」
「見てください先輩!おれら、先輩に勉強見てもらったおかげでめっちゃ成績上がったんすよ!」
豪星も、二人の成績表を見る。
あ、ほんとだ。前期と今期の順位差が20番以上ある。
「いやー、さすが猫先輩って思いましたよ!」
「まーねー当然だよねー」
「顔も良くて金持ちで頭もいいとか、もはや敵なしっすね!」
「それほどでもないっていうかー」
「「これで性格悪くなかったら完璧なのに!」」
「だれが性格と男の趣味が悪いだコラァ!!」
それ俺のこと!!?
「で、あんな短期間で他人の成績上げられる猫先輩なら」
「龍児の成績も、なんとかしてもらえるかなって……ほら、龍児。イケメン先輩にまず成績表みてもらえよ」
よくみると、龍児の手にも成績表らしきものが握られている。が、にぎりしめたまま離さない。はげしく葛藤(かっとう)している様子だ。
そこに、「なになにどれどれー?」猫汰が遠慮なく、龍児の手から成績表を抜き取った。「あ!!」龍児が思わずと言った風にさけぶ。
「か、か、かえ……!」
龍児が言い切る前に、「まじかよ」猫汰が真顔でひとこと。そして。
「やばいよやばいよ!順位やばすぎだよ!?
ひくいわー!っていうかひくわー!
みてみてダーリン!これこれ!ここすごくね!?英語0点だって!0点とるやつとか!!初めて見た!!」
10>>
<<
top