「ご、ごめん。今日、いろいろお願いしたいことがあるんだけど」

「なんですか?」

「その……思ってたより、あちこちいたくて。うごけない」

「…………」

ええと。

自業自得ですよと言うべきか。ごめんなさいというべきか。

「……とりあえず、着替えとタオルとってきます。あと、今日は俺が朝食をつくります」

「おねがいしまーす……」

言われた通りに着替えをはこんで。猫汰がやりにくそうに着替えているうちにキッチンへ。

冷蔵庫をあけると、食パンと、たまごと、ハムが目に入る。

うん。トーストをつくってめだまやきのせて、インスタントのコーヒーいれよう。

そのくらいならできるだろう。



引っ越しの際、猫汰の兄が会社の方でトラックを手配してくれるとのことで。

ありがたく厚意をうけとり、豪星と猫汰の部屋から荷物を引き取りにきてもらうことになった。

引き取り当日。まずは猫汰のうちを片づけて。つぎに豪星のうちへ移動すると。

「「どーもどーも先輩たち!引っ越しおつかれさまっすー!!」」

「ごうせー!」

「げぇ!!」

「あ、三人とも。こんにちわー」

豪星の家の前で、後輩三人が待ち構えていた。「なんでいるんだよ!」猫汰が怒鳴るも、はっ!として、こちらに振り返る。

「ちょっとダーリン!!今日引っ越しだってこいつらに言ったでしょ!!」

「え?うん。手伝いますよって言ってくれたから。三人とも俺のうち知ってるから、俺のうちにきてねって」

「こら!!呼ぶんじゃない!!」

「なんで?このくらいいいでしょ?そういう約束だったでしょ?そうでしょ猫汰さん」

「うぐぅ!!」猫汰のみぞおちに言い返している途中。「すみませーん!トラックこちらでよろしいですかー!」トラックが追い付き、声をかけてくる。

「あ、はーい!そこで大丈夫です!ほら猫汰さん。片づけましょう」

「う、う、う……っ!ふにおちなぃいい!」

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