「なにいってんの?さっきもらってた、コインみたいなやつ。だして」

「え?」

「だしてよ」

「え。出すのはかまいませんけど、なんで?なにかするの?」

「捨てるにきまってるでしょ」

「は!?」

「は!?はこっちだし!あのさぁいい加減その浮気ぐせやめてくれない!?俺けっこう我慢してるんだよ!!
なのにさぁ!俺がダーリンに甘いからって!ダーリンもりゅーちゃんもいそいそ浮気してさぁ!?なに?コインで約束とか??べた過ぎて気持ち悪いんだけど!!」

「そんな言い方しないでくれません!?龍児くんは俺の大事な友達なんですよ!!大体いつも思いますけど浮気ってなんですか!俺は友達と仲良くしてるだけで恋人になりたいとかそういう話じゃないでしょこれ!」

「そうじゃねぇよ!お前がそいつのこと大事とか言ってる時点で浮気なんだよ気持ちの問題なんだよ!!
気づけよアホだな!!」

「アホってなんですか!猫汰さんのバカ!!」

「バカで結構だ!!良いからそれよこせ!!」

「やだ!ぜったいやだ!!」

ぎゃあぎゃあ言い合いながらお互いゆずらず。とうとう、反対の道に分かれてしまった。豪星は自分のアパートへ。猫汰は自分のマンションへ。

「なにあれ!!ひどすぎだろ!!ちょっと父さん!聞いてよ!!」

怒鳴りながら家の扉を開けると。

「……あれ。父さん?」

パチンコにでも行ったのかと思いきや。机の上に一枚、紙が置いてあるのを見つける。もしやこれは。

「……やっぱり」

父親はいつも、いなくなるとき手紙をのこす。

がらんとした部屋をみわたすと、あれだけふくらんでいた怒りが、すっとしぼんだ。

どうしよう。このあと。猫汰さんの家に泊まる予定だったのにな。

ひとひとりいなくなった部屋をながめて、豪星は溜息をつく。

手紙をじっとながめて、ながめすぎて夕方になったころ。

「……よし」カバンを持って立ち上がる。アパートを出て、向かうのは猫汰のマンションだ。

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