「な、なにが?」
「俺は!勉強がしたいんだ!だって!勉強できないと!あいつが!!あいつが豪星をつれてどっかに行っちゃうんだ!
俺そんなのやだ!俺も豪星といっしょにいたい!また豪星と学校いきたい!
だから!だから俺は勉強する!
勉強して勉強して豪星と同じ学校にまたいくんだ!
今はむりでも、やってればきっと、おれだって勉強できる!
それで!また豪星の近くにまでいくんだ!おれはそのためにがんばりたいんだ!!」
「……つまり、龍児くん。俺の進学する学校に受験してくれるってこと?」
「うん!」
「わー!ほんとに!?うれしい!きてきて!ちょっとむずかしい学校選んじゃったから大変かもしれないけど、応援してるね!
いや、違うか。
まってるね!俺、先に行って龍児くんのこと待ってる!だから、勉強がんばってね」
「…………、」
龍児は、涙にまみれた目をひとつ、ぱちりとまたたかせたあと。
「うん。まってて」
うれしそうにほころんでから、制服のポケットをさぐりだした。
何かをとりだした龍児に手をさしだされる。「手、だして、ごうせい」と言われたので、豪星も手を出すと。
「あ……これ」ずっと前に、豪星が龍児に買ってあげたコインを、てのひらにのせられる。
「おれの、一番大事なもの。もってて。豪星。
俺がお前の学校にいけたとき、俺にそれ、返して。やくそく」
そう言って笑う。友達の笑顔。
「……うん。約束する」
そんな風に約束のできる友達ができたことがうれしくて。
豪星の目にも、涙がこぼれた。
*
卒業式が終わり、さあ猫汰の家にいこうかと、彼の姿を探したのだが。
「……猫汰さん?どうされました?」
校門付近で見つけるなり、「どうしたもこうしたもないし」不機嫌な顔でにらまれる。
「さっきは、りゅーちゃんと?ずいぶん楽しそうだったねー?」
「あ、なんだ。見てたんですか。やだな。はずかしいじゃないですか。
……って、なんで手をこっちに差し出してるんですか?」
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