かけ布団をゲットし、けれど、肝心のつくえがどこにも見当たらないので、近くを通りかかった店員に聞いてみた。

すると、一階は日用品。二階は家具を取り扱っていて、こたつの机は二階になりますと説明してくれる。

なるほどねと頷き合って、すぐ、エレベーターに乗って二階へのぼった。

二階につくと。

「あ!あったあった!」ようやく、お目当てのこたつを見つける。

ふたりであれこれ話合い、大きさと色味を決めると、注文の札を取ってサービスカウンターに向かう。

大体、猫汰が主となり受付、配達の手配、ついでにクリスマスツリーも預かってもらう。猫汰の家に到着するのは明後日になるそうだ。

「届いたら、出すの手伝いますね」

「わー、きてきて。お泊りしてってー」

目的を達成したが、せっかくだし二階も見て回ろうということで、こたつ以外のものもあれこれ物色する。

家具コーナーはその名のとおり、大物道具ばかりで、机やイスや、ソファや棚など、たくさん展示されている。

「うわー、本棚だ。いいなぁ。あ、ソファもある。あこがれるなーソファ。勉強机とか使ったことないやー。あ、ダイニングテーブルもある。一回で良いから、自宅でこういうの使ってみたかったなぁ」

「……なんか、ダーリンのあこがれるものって、さっきのツリーもふくめてファミリー向けのものばかりじゃない?」

「はい。そうなんです。父親があんなのなんで、引っ越しするときに邪魔だよねーとか言って、ファミリー向けのふつうの家具を一切使ったことがないんです。
まあ、結果的にものがないほうが、俺も家を出るとき引っ越しが楽なんで良かったと思うんですけどね。
ああ、でも、子供のとき、一回だけ唯一うちにあった机がこわれちゃって。
スーパーでもらってきた段ボールを使って宿題をやったときは、ちょっと泣いたなぁ」

「なにそれかわいそう!おとーさまのだめ人間!!」

だよねー。俺もそう思う。思ってもしょうがないと学んだから良いんだけど。

「そうだ!ダーリン、卒業しておうちを出たら俺と暮らそうよ!」

「え?どうしてそういう話に?」

「だって、俺ならダーリンの好きな家具、いっしょに選んであげられるし!一生寂しい思いさせないよ!」

それは一生俺のそばに居る気ということか。

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