大学受検を終え、晴れて合格した豪星は、3月10日の今日をさわやかな気持ちでむかえた。
本日は、豪星の高校生活が終止符をうつ。卒業式である。
「いってらっしゃーい。ごうせいくーん」父親が、卒業式当日くらいは気が向いたのか、玄関まで見送りにきてくれる。
「父さん。俺、今日は学校行って、そのまま猫汰さんのマンションに行って泊ってくるから」
「はいはいオッケー。楽しんでいってらっしゃーい」
気軽な見送りをうけつつ、学校へ向かう。
到着すると。
「だーりーん!」先に登校していた猫汰が手をふってくる。
「あいかわらず早いですね」
「ダーリンを学校で待ってるっていう時間がたのしいからねー」
「はは。そうですか」
「それも今日でおしまいかー。たのしかったなぁ、高校生活」
「そうですね。たのしかったです」
「これで4月になれば、晴れて!俺とダーリンの大学生活がはじまるね!」
「そうですね。たのしみです」
「そうだね。うふふ」
高校生活最後のホームルームが終わり、教室を出て体育館へ向かう。
卒業生のために用意されたイスにすわり、しゅくしゅくと、式が進んでいく。
祝辞を受け、証書をもらい、豪星たちの高校生活は、これをもって終了した。
……不思議だ。
卒業したという実感が気持ちが良い。嬉しいとか、感動するとか、そういった感情がわいてくる。
式が終わると。「わーーーー!だーーりんおめでとーーーーー!」体育館の外で猫汰がだきついてきた。「猫汰さんも!」おめでとうを返して、……まあたまにはと、軽くだきかえしたら、「ひいい!!」それは予測してなかった!と言った風に、猫汰が悲鳴をあげる。
「だ、ダーリン!いきなりサプライズするのやめて!」
「いつもサプライズするひとがなに言ってるんですか」
「不意打ちされると心臓にわるいの!もー!あーびっくりした」
「うれしいくせに」
「うるさい!ダーリンのくせになまいき!」
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