「いいすかお父さん。こうやるんすよ。おい龍児!!遊びにいくぞ!!」
扉をがん!!と開けば、窓の横でじっとしていたらしい龍児が、びくっ!と振り返る。
「よっしゃー、とりあえず、予定してたとこ遊びにいくかー」
「おっけー。けんじ、あそこにある龍ちゃんのコートとってきて。マフラーも」
「おっけー」
連携プレイで、龍児にコートをかぶせマフラーをまき、無理矢理部屋からつれだして、庭先においてあった自転車の後ろにのせる。
「それじゃお父さん!龍児お借りしまっす!」
「帰るのは夕方ごろだとおもいまっす!」
「お、おお。わかった。気をつけていけよ」
「「了解っすー!」」
自転車が発進すると。「うわ!」訳も分からず自転車に乗せられた龍児が、驚きざまに抱きついてくる。
「いでで!龍ちゃん!しがみつきすぎだって!いたいよ!」
「わ、わるい……」
「おい龍児!いまからおまえんちの近くにある商店街いくぞ!」
「なんで??」
「おもしろそうなイベントがやってるんだよ!あそびにいくぞー!」
なんで??なんで俺もいくの??と、言いたげな龍児を自転車ではこび、はやばや商店街に到着。龍児をひっぱり、「あれあれ!」連れ込んだのは、商店街の中腹にある、うどん屋の手前。
うどん屋の前ではすでに人だかりができていて、その中心に、机がいくつも並べられている。「参加者募集」の看板をみつけて、さっそく、龍児をぐいぐい前に押し出した。
「な、なに??」
「いまからこのうどん屋で、早食い大会やるんだよ!」
「龍ちゃん、早食いも大食いも得意でしょ?参加してみなって!たくさんうどんがたべられるよ!」
「……でも俺、いま、あんまりたべたくない」
「それがダメなんだって!食べてないからカロリー足りてないんだよ!絶対お前、食べてないと食べられなくなるタイプだって!食べればまた食欲もどるんだって!」
「そうそう!ここらでどかっとカロリー摂取しなよ!それに、この大会で優勝すると三万円もらえるんだよ!」
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