「うっすうっす。そのつもりで遊びにきました」

「良かった……。どうぞおあがりください」

「「おじゃましまーす」」

龍児の部屋である家の二階にいく前に、龍児の父親は、おのれがなぜここまでげっそりしているかの話をしてくれた。

いわく。

年末をすぎてから、どうも龍児の様子がおかしい。なにかふさぎこんでいるし、いつもより飯も食べない。

「たべないって言っても、おせちを二段は平らげてたけどな」

「龍ちゃんらしいっすね」

「けど、いつもなら、三段重を食べ尽くして、雑煮も5杯は食べて、からあげとエビフライをもりもり大皿で食べた後、しめにおしるこを3杯食べて、おなかいっぱいだからしるこがあんまり入らないとか言い出すからな。
二段だけで終わるのはおかしいだろ?」

「龍児らしくねえっすね」

様子がおかしいので、またなにか悩んでいるのだろうと思い、本人に直接たずねてみたが、「なんでもない」の一点ばりで、お手上げ状態とのことだ。

「今までなら、こういう時は豪星がいたからよかったんだよ。龍児は、豪星にならなんでも話すからな。
だから、正月、うちに遊びに来てくれって電話して頼み込んだんだが、すみません。恋人に、正月の間はずっといっしょにいて欲しいと頼まれまして。また、別の日に行きますねって、あっさり断られちまってな。
恋人が断りの理由だと、俺も強くいえなくてな……」

「猫せんぱいめー!」

「龍ちゃんいじめていいの俺らだけだっつってんのに!はらたつ!」

「なんのはなしだ?」

「「いえいえこっちの話っす」」

話している内に龍児の部屋にたどりつき。「おーい。龍児。へんじ君とけんじ君があそびにきてくれたぞー」父親が、こんこん、ひかえめにノックする。が、うんともすんとも返らない。

「龍児ー……」困り声をあげる父親を、「ちょっと!どいてください!」へんじがおしのける。自分も、一歩前にでた。

「そんな控えめなやり方で龍ちゃん出てくるわけないでしょ!」

「お、おう……」

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