めずらしく父親が言い返されている。さすが猫汰さん。
「……兄弟そろっておなじこというなよ……」
「父さん、なにか言った?」
「ううん。なんでもなーい。
それより、良い匂いがするね。ごはん作ったの?猫ちゃん」
「うんそう。誕生日会用にね」
「そうなんだ。じゃあ僕のための料理なんだね。たべたいなー。最近、猫ちゃんの料理すっごく美味しいから」
「さすが親子だね。おとーさまも、シンプルな味付けがすきだなんて」
「……ええといや。シンプルな味付けが好きっていうか。論点はそこじゃないというか、一般論を僕は持ち込みたいんだけど。それを上手く君に説明できないというか。
うん。あれだ。かゆいところがあるんだけど、その真下をひっかかれたような……」
俺たちさすが親子だね。意見がまったく一緒だよ。
「どういうことー??」
「「いやいやいいよ。きにしないで」」
多少誤解してても、問題がないことは変わりないので、これについてはこのままで。
とりあえず、ばれてしまった誕生日会の予定を早めて、ごはんにケーキでもたべましょう。
「それじゃ猫汰さん。いただきまーす」
「いただきまーす、猫ちゃん」
「はーい。どうぞー」
あいさつして、ひとくち。うわー、おいしーい。
もりもり食べてたらすぐになくなっちゃった。父親も、ぺろっと完食している。
つぎはケーキだな。
それにしても、手作りケーキってすごいなー。おいしそう。ぱくりと一口。
「そうそう。ケーキはね、はりきってつくったよー!!」
「「ぶっふぉう!!」」
さきに言ってーーー!!
*
お正月も3日をすぎれば、あれだけ盛り上がっていた人々のテンションも落ち着いていく。
いつもならばけんじも、例年通り落ち着いていくはずだったのだが。
「はーーーーー……」
今年は、落ち着くというより落ち込んでいた。
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