めずらしく父親が言い返されている。さすが猫汰さん。

「……兄弟そろっておなじこというなよ……」

「父さん、なにか言った?」

「ううん。なんでもなーい。
それより、良い匂いがするね。ごはん作ったの?猫ちゃん」

「うんそう。誕生日会用にね」

「そうなんだ。じゃあ僕のための料理なんだね。たべたいなー。最近、猫ちゃんの料理すっごく美味しいから」

「さすが親子だね。おとーさまも、シンプルな味付けがすきだなんて」

「……ええといや。シンプルな味付けが好きっていうか。論点はそこじゃないというか、一般論を僕は持ち込みたいんだけど。それを上手く君に説明できないというか。
うん。あれだ。かゆいところがあるんだけど、その真下をひっかかれたような……」

俺たちさすが親子だね。意見がまったく一緒だよ。

「どういうことー??」

「「いやいやいいよ。きにしないで」」

多少誤解してても、問題がないことは変わりないので、これについてはこのままで。

とりあえず、ばれてしまった誕生日会の予定を早めて、ごはんにケーキでもたべましょう。

「それじゃ猫汰さん。いただきまーす」

「いただきまーす、猫ちゃん」

「はーい。どうぞー」

あいさつして、ひとくち。うわー、おいしーい。

もりもり食べてたらすぐになくなっちゃった。父親も、ぺろっと完食している。

つぎはケーキだな。

それにしても、手作りケーキってすごいなー。おいしそう。ぱくりと一口。

「そうそう。ケーキはね、はりきってつくったよー!!」

「「ぶっふぉう!!」」

さきに言ってーーー!!


お正月も3日をすぎれば、あれだけ盛り上がっていた人々のテンションも落ち着いていく。

いつもならばけんじも、例年通り落ち着いていくはずだったのだが。

「はーーーーー……」

今年は、落ち着くというより落ち込んでいた。

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