あれこれ話し合い、料理は猫汰がつくって、その間に豪星が風船を用意することになる。

そして、きたる3日。

「風船づくりってけっこうしんどい……」

風船を4個つくったところで、さっそく根をあげる。息がくるしい。

「だいじょうぶ?料理ができたら俺もてつだうね」

「すみません……おねがいします……」

ことこと、猫汰が料理を作る音をききながら風船をつくりつづけて、20個め。

「ダーリン。俺もてつだうよー」調理をおえた猫汰がやってきて、豪星のとなりで風船を手に取る。

さなか。

「たーだーいーまー」玄関の開く音がする。父親の声だ。

「「あ!!」」思わず、猫汰とさけんだ。

「あれ?豪星くん。猫ちゃん。なにしてんの?なにこの風船」

「もーーーーー!おとーさま!!パチンコ行ってくるって言ってたじゃない!」

「え?うん。行ってきたよ」

「父さん!!いつもはパチンコ行くと夕方くらいまで帰ってこないだろ!!」

「え?うんまあそうだね。でも今日はなんとなく、早目にひきあげたい気分になって……。で、この風船なに?あと、僕、なんか怒られてない?なんかした?」

「「サプライズで誕生日会しようと思ってたんだよ!早めに帰ってくるな!!」」

渾身の怒りをこめてなじるなり。「え??たんびょうびかい??」父親が、まるで意味のつうじない言葉を聞いたような顔をした。

そのうちに。「あ、あー……そうなんだ。僕の誕生日、今日だもんね。それを祝ってくれようとしたんだね」大きいものをがんばって飲み込んだ。みたいな顔でなっとくする。

「いやでも、別にいいよそんなわざわざ祝わなくて。頼んでないし」

「ちがうのおとーさま!俺が祝いたかったの!!
彼氏の父親の誕生日を!!サプライズで祝ってあげたかったの!!おれが!!」

「……あ、なるほどね。それはどうもすみませんでした」

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