「ダーリン。おーせーちーどーぞー」
「わーいおせちだー」
前年。猫汰がおせちを作ってくれると約束してくれ、それが目の前にならんでいる。
ちなみに、1日は豪星のアパート。二日は猫汰のマンション、三日以降はいろいろ遊びにいく予定だ。今日はその初日である。
「すごーい!俺、おせちって買うものだとおもってた!猫汰さんって料理じょうずですよねー!」
「うーん。俺が料理上手っていうより、詩織ちゃんが上手なのね。
俺の食べるものをずっとつくってくれたの、詩織ちゃんだったし。その影響で、俺も料理するようになったんだけど。
相手の料理のウデが高すぎて、俺、いっかい躍起(やっき)になったことあってね。
それから、料理をはりきってアレンジするようになったんだー」
あの料理にそんな経緯があったのか!へええ!!
「はりきってアレンジすると。詩織ちゃんがね、いつもより、美味しいよ猫汰。上手になったねって言ってくれるからうれしくって。
俺ね、実を言うと、アレンジした料理あんまり他人に食べてほしくないんだ。俺は料理が大好きだから、はりきったものは大好きなひとにだけ食べてほしいの。
だから、はりきってつくった料理をたべてもらったのは、ダーリンがふたりめだよ」
なるほど!!だから!本人への味の誤解が解かれないままなのか!へええ!!
「いやうん。そうですね。おいしいですよ、猫汰さんのはりきった料理」
「ありがとー。うれしい!」
「ところで。この三重のおせちのうち。はりきっているのはどの段ですか?」
「三段目ー!」
おっけい。気合い入れて食べよう。
「そういえば、おとーさまいないね。元旦でもパチンコって開いてるのかなー」
「さあ。昔からふらふらあっちこっち行っちゃう人ですから、本人が言わない限り、今どこにいるのかよく分からないんですよ」
「ふーん。そうなんだー」
「あ、父親といえば、あのひと3日が誕生日なんですよ」
「え?誕生日?1月3日が?おとーさまの?」
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