「これで大丈夫だね!」
「そうですねー」うーん。俺の彼氏、相変わらず万能。
「さーて、じゃあ俺も……はっくしゅ!うー、さむ。外に出たら冷えちゃった」
「ひとこと言ってくれれば、俺もてつだったのに」
「いやだって。寒空にダーリン出させるとか、可哀想でしょ?」
「べつにいいよ。それくらい。猫汰さんがそれで風邪ひくほうが嫌だよ」
今度は豪星のほうが、「ちょっとまってて」と言って、ホッカイロを猫汰にはりつけ、買ったばかりのコートを着せる。
「ありがと、猫汰さん」
このくらいじゃお礼にならないけど。気持ち的にね。
「……ダーリン。俺とつぜんカゼをひいたかもしれない」
「え?だいじょうぶ?」
「心が……あつい……!」
「ふーん??」
防寒対策が出来たので、再度旅館を出る。しばらく歩くとイベントの張り紙や立て看板が並ぶ路地を見つけたので、中に入って先へ進むと。
「……わー!」
「すごーい!」
イベントの入り口で。早速感動の声がのぼる。
森林に真っ直ぐな道がのびていて。その足元に小さな回転灯籠が等間隔に置かれている。
灯籠の灯がくるくるまわるたび、飾りの絵があたりを照らし、それがなんとも美しい。
更に舌を巻くのが、森林のあちこちに飾られた、電灯とつるしかざりだ。
鈴もつるしてあるのか、ときおり風が吹くと風鈴のような音がする。それが電飾と相まって、大変優美だ。
「きれいだね」
「ほんとですね」
語彙を失くす美しさに、二人ならんで見とれている内に。ぎゅ、となにかが手に巻き付いた。見ると、「えへへ」猫汰が豪星と手をつないでいた。
「ダーリン。つないで歩いて良い?ダーリンが嫌ならやめるけど」
「……いいですよ」
たまにはね。いいかな。手をつなぐのも。
みんな、下と上しか見てないしね。
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