そして、うちの彼氏と言えば。

「よっしゃやるぞー!!」

羞恥の対岸。意気揚々。である。さすが猫汰さん。

猫汰が、岩から岩へ、「ほんとに目をつむっているのか」と思うほど潔い足取りであるくこと数秒。

「ここだー!」

すごい。一発でクリアした。

「ダーリンダーリン!見てた?俺あるけたよー!」

「おめでとうございます。すごかったです」

こっそり、みんなが猫汰をスマホで撮影(さつえい)しているくらいには。

「いい結果がふたつ続いている内におみくじをひこう!」という事で、恋占い神社特設のおみくじを購入し、さっそく、封を切って中身を開く。そして。

「えーとなになに。末吉。
このおみくじに当たる人は、自信をもちすぎて、軽がるしい行動をとると、思いがけない災難をまねくことになります。きをつけましょう。

金運、お金のつかいかたがあらくなるので、きをつけましょう。
恋愛、初めは燃えても、あとで相手に冷められて、結婚へとすすむ前にふられる。いっときの恋におわる。
縁談、いそぐな。落ち着け。」

良い結果をふたつ出したわりに、結果がびみょう。

まあ猫汰のことだから。

「ふざけるな!!!
俺とダーリンの愛はつねに大吉に決まってんだろ!?ワンモアチャンスだ!
金なら!ある!!」

ですよねー。

おみくじをびりびりに破り去って、二回目。次はお望みの文章が書かれていたようで、しきりに「みてみて!」と押し付けられた。

はいはい良かったですねーと受け流しつつ。

この人がくじをひく意味は、はたしてあるのだろうかと、疑問を感じる旅先のひとときであった。



志水寺を一周し、再び店先をのぞいている内に陽が暮れて。「そろそろ嵐川の旅館へ行こうよ」と猫汰に誘われるまま、バスに乗って場所を移動した。

志水寺から嵐川は距離があるらしく、バスに乗ってから随分と時間を要し、到着したころには、空が真っ暗になっていた。

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